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□先生と僕
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「ねぇ、渚くん。」
「すっかりE組に馴染んじゃってるね?」
「もう、元のクラスにはもどれないね。」
クスクス。 悪意のある笑い方。
元・クラスメートの少女たちは、いったい僕に何の用があるのだろう。
『END』のE組。
この進学校で、一定の学力に届かなかったらこのクラスに落とされる。
ありとあらゆる面で差別されている、このクラス。
「何か言ったら?」
クスクス。 背筋がゾクゾクする。
だんだん遠ざかって行く彼女たちの足音と、その場から動けない僕。
と、その時。
「渚くん!」
「烏間先生?!」
「探したよ。・・・君が授業をサボるとも思えないし、第一皆君が絡まれているのでは、というし。君はよく絡まれているのか?」
「そんなことないです。僕だけ、というわけでは・・・。」
「皆口をそろえて言うのに?」
「そ、それは・・・。」
少し疲れたようにため息をついて、先生は続ける。
「業くんはそいつをボコってくる、とか言い出すし・・・。」
「カルマくんらしいですね。」
「ああ。彼だけでなく、アイツも、もちろん俺だって心配している。」
「・・・烏間先生も?」
「なぜ、そんなに不思議そうな顔するんだ?」
逆に不思議そうな顔されてしまった。
「な、なんでって・・・。」
「君たちは、一科目だけだとはいえ、俺の受け持っているクラスの、大事な生徒だ。心配するのは当然だろう。」
・・・そっか、やっぱり『先生』だからか。
『先生』だから、『生徒』を守るのが仕事だもんね・・。
「渚くん、どうした?」
「先生、どうしたら・・・」
――どうしたら、『僕』を見てくれますか?――