共同企画!
□先生現る!
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―ガラガラガラ
「起立、礼」
『おはようございます!』
毎日繰り返される、同じような挨拶。ただ、挨拶をする相手がいつもと違うだけ。
「悠舜先生、黄先生はどうしたんですか?」
生徒の一人が尋ねる。
黎深先生の愚痴に一晩中付き合わされていた、なんて言ってはいけないと思い直した優駿は、(三秒程度)悩んだあと、
「今日はお休みだそうですから、数学の時間、しっかりと自習しておくように、とおっしゃっていましたよ」
と言った。生徒たちから喜びの声が上がると同時に、朝のHRを終えるチャイムが鳴る。
「起立、礼」
『ありがとうございました』
「…甘いですね……」
―HRを終え、教室をあとにした悠舜が、黒い笑みを浮かべているのを見たものがいたとか、いなかったとか。
***
「会長さん、これ。……浪先輩が会長さんにわたせって」
「そうか。…燕青のやつ、いつも後輩に日誌運ばせやがって」
「まぁまぁ、絳攸。落ち着いて」
学園創立以来の才人で、おそらく歴代の生徒会長の中では最年少と言われている絳攸をなだめて、後輩に声をかける。
「蘇芳君、ありがとうね」
「え、先輩…。どうして俺の名前、知ってるんですか?」
「君はいろいろと有名だからね」
「うわー、逆に怖いわー…」
どうやら本人は無自覚のようだ。
ふと黙って日誌を眺めていたはずの絳攸が、すごい顔で睨んできた。
「どうしたんだい、絳攸?もしかして妬いてくれているのかな?」
「だれが妬くか、馬鹿。……今すぐ浪燕青を連れてこい」
「……その心は?」
「連れてくればわかる。……蘇芳、助かった。ありあgとう」
冷静沈着であまり(一部をのぞく)他人の前では表情を変えない絳攸に少し微笑まれた蘇芳君は、長椅子や壁にぶつかりながら生徒会室をあとにした。
「私にもあんな風に笑って欲しいものだね、絳攸」
「…楸瑛、お前、まだいたのか?」
あきれたように言う絳攸。私をあなどってもらっては困る。私が何もせずただつっ立っているわけはないだろう。
「ちゃんとほら、燕青連れてきただろう?」
「そうか」
「おおー!すげー!なにこれ、かっこいー!」
生徒会室の備品を勝手にいじくる燕青に思わず苦笑してしまう。まったく、日誌を自分の手で持ってくれば、この場所で少しならもてなしてやるというのに。まぁ、本人にはそんなこと教えてやらないがね。
横にいる絳攸がため息をつき、不機嫌そうな声で燕青の名を呼んだ。
「何、会長さん。どうかした?」
今、まさに絳攸の理性が音を立てて崩れている最中だ。
「どうしたもなにも……なんだこの日誌は!!!!」
「おや、そんなにひどいのかい?」
これだ、と例の日誌を差し出す絳攸。中身は……なんだろう、これ。
「えっと、これは幼稚園児が落書き帳と間違えてしまったのかな?」
「前回も前々回も……だいぶ前から言ってるが、日誌や報告書はちゃんと、文・字・で・かけ!」
「ひどいなぁ〜、これ、文字だぜ!?」
これが!?……ミミズののたくったような字とはまさにこれのことだと、何げに失礼なことを思ってしまうのはしょうがないといえるだろう。それに、絳攸の怒りはまだまだ収まりそうではない。
「もしくは、対応表を作れぇええええええ!!!!」
……どこまでも大真面目な絳攸に、さすがの彼もなにも言えなくなっていた。
と、その時。
―コンコン
ドアを叩く音が耳に入った。
「……誰だ?」
――――――――――――
長々と申し訳ない……。勝手に迷子を会長に、常春を副会長にしてしまいました。そして書き始めたら止まらなくなる双花萌え。
ちゃんと先生は出したからね?!腹黒万歳!