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□記念日
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ねえ、覚えてる?
今日で、僕らが付き合い始めて一年たつんだよ?
「…っ!」
って、僕はなんて女々しいことを考えてっ…?!
「あー、もうっ…。」
誰も見ているはずなんてないのに、思わず手で顔を覆ってしまう。
指先に触れた頬が、少し熱い。
…きっと、真っ赤になっちゃってるんだろうな。
もう、やだやだ。恥ずかしい。
と、そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「村田ー、いる?」
「し、渋谷っ?」
珍しい。
渋谷が何の連絡も無しで僕の家に来るなんて。
「どうしたの?急に…。」
「いや、だってさ、今日で一年たつだろ?」
俺たちが付き合い始めて。
そう言って、僕の大好きな笑顔を浮かべる。
「あ…、えっと、ダメだった?」
「そんなことないよ!」
むしろ嬉しい、とうつむきながら答える。
「良かった…。」
渋谷が本当に安心したように呟くから、ついつい笑みがこぼれてしまう。
「村田、好きだ。」
「僕も、渋谷が大好きだよ!」
――だから、これからも、ずっと一緒にいてね!