main

□僕を、見て
1ページ/2ページ


※何かが原因で地球と眞魔国の通路が断たれて、眞魔国に残る有利さんと地球に戻る村田さんのお話。




「渋、谷…。」

君が眞魔国に残って、僕がこっちに残って、もう一ヶ月たとうとしている。

「ねえ、渋谷。」

そっちでちゃんとしてる?

フォンビーレフェルト卿とは上手くやってる?

…今、幸せ?

君とフォンビーレフェルト卿の姿を見るのが辛すぎて戻ったけど、やっぱり辛すぎて。

渋谷が幸せならそれでいいって決めたのに、僕、しぶとくて女々しすぎ。

「あーあ…。」

失恋、か。

そんな経験、過去の記憶ではたくさんあるけど、やっぱり『村田健』として経験するのとは別物だね。

「好きだよ、渋谷。」

…伝えてたら、何かが変わっていたのかな。

僕と一緒に地球に戻って、今も一緒に笑っていることができたのかな。

「…僕のこと、一度でいいから見て欲しかったな。」

なんて、馬鹿馬鹿しい。

「ねえ、渋谷。」

好きだよ。

君のことが、ずっと好き。

だからどうか、幸せに、ね?

――涙が零れないように見上げた空は、君の好きな蒼だった――
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ