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□君と僕
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「ねえ、ウェラー卿。・・・僕たちもう、別れよう?」
「猊下…?」
なぜ、そんなことを言うのだろう。
きつい言葉とは裏腹に、なぜそんな顔をしているのだろう。
「気づいてるだろう?・・・渋谷は、君のことがっ」
「なぜそこでユーリが?」
「なぜって・・・。」
言葉を濁す猊下。
「あなたはなぜ、全て陛下へ譲ろうとなさるのですか?」
「そ、それは・・・。」
「俺のこと、嫌いですか?」
「そんなわけないっ! ・・・でも、僕の存在が渋谷を傷つけるのなら・・・。」
あなたはいつもそうだ。
全てをユーリにゆずり、彼を大切にしすぎる。
・・・俺が妬くほどに。
「ケン。 ・・・俺は貴方と別れるつもりなんて、ないですよ。」
「ウェラー卿っ!」
怒ったように言う。
「俺には貴方が、陛下には異母弟がいる。 ・・・ね?」
第一、陛下は猊下が好きらしい。
そのような相談を、俺はつい先日されたばかりだ。
なんで、ご自分のことだけはこんなに低評価なのか・・・。
どうしたら、ご自分の価値を理解してくださるのか。
「・・・あなただけを愛していますよ、猊下。」
――伝えたい想いを込めて、俺はまだ幼さの残る少年をやさしく抱きしめたのだった――