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□俺の生まれた日
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『お兄ちゃん、お誕生日おめでとう!』
・・・かわいいなぁ、ゆーちゃんは。
おっと、ゆーちゃんといっても野球小僧の弟ではないぞ。
弓道部に属してる、可愛い可愛い女の子だ。
・・・ギャルゲーだが。
ひとりさみしくモノローグを入れていると、外のほうから俺を呼んでいる声がする。
「おにーさん、聞こえないの?」
最近、晴れて恋人になった、村田健。
なのに家に来る用事は、たいてい弟がらみ。
せっかく、今日は・・・。
「なんだ、ゆーちゃんなら留守だぞ。」
「違いまーす!今日はおにーさんに用があって来たの!」
「何の用だ?」
すると、勝手に部屋に入り込んできた健は、にっこりと笑うと俺に可愛い袋を差し出す。
「はい、プレゼント。・・・勝利さん、今日お誕生日でしょ?」
「お、おお・・・。」
あっけにとられている俺を見て、健は大好きだよ、と続ける。
――やっぱり、健が一番可愛いと心の中で思い直すのだった。