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□彼と自分と恋愛事情
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「吉井くん、…い、一緒に帰らないかい?」
僕には、好きな人がいる。
嬉しいことに、相手も僕を好きだと言ってくれる。
彼は、とても可愛いくて、頭が良くて。
誰にでも優しくて、誰からも信頼されていて。
一途で真面目で努力家で。
「うわー…。」
いつも思うけど、どうしてこんなに完璧な彼と僕が恋愛出来ているのだろう。
「よ、吉井くん、その、あの、えっと…。」
「うん?」
いつも誰に対してもはっきり物事を言う彼が、言いよどむなんて珍しい。
「…えっと、その…、そんなに見られると、…恥ずかしいよ。」
「何のこと?」
「だ、だから、その…。」
わたわたと慌てながら、顔を赤く染めている。
…普段、格好いいと称されることが多い彼は、実は僕の前ではすごく可愛い。
いつものキリッとした雰囲気とは正反対で、思わず手を握る。
「・・・ふぇ?」
「・・・可愛い。」
そう、可愛いのだ。
いつも格好いい彼が、僕だけにそんなところを見せてくれるのだ。
「ね、久保くん」
すごく、好きだよ。
――だから、もっと、誰も知らない君を見せて?