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□ホウカゴ
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「あ、…おーい、しーぶやっ!」
道路の向こう側から、小さく手を振る、オレの可愛い恋人。
「お、村田!」
控え目に微笑んだ表情が可愛くて、思わず駆け寄る。
「もー、駄目だよ渋谷。道路横切ったりしたら危ないよ?」
「…以後気を付けます。」
こうやって、いつもオレのことをたしなめる村田は、眼鏡なのもあるかもしれないが、どこか大人っぽく見える。
…まあ実際、オレより少しだけ年上なのだけど。
「村田、これから時間ある?」
「あるけど…。どうしたの?」
デートしようぜ、デート。
…いわゆる、放課後デートってやつ?
そう言うと、真っ赤になりながらもいいよ、って言ってくれた。
「よし!じゃあ、そうと決まれば行こうか?」
「う、うん…。」
急にしゃべらなくなってしまった村田。
でもそんなのは、ただの照れ隠し。
だって、顔は真っ赤だし、
…それになにより手を差し出したらつないでくれたから。
「村田。」
「ん…?」
「好きだよ。」
「ちょっ…!こんなところでなに言ってっ!?」
誰かに聞かれたらどうするのさ、と可愛い顔でオレをにらみつける。
「だって、それが目的だし?」
「渋谷のばか!」
間髪入れずに返される。
そんな村田が可愛くて思わずにやけてしまう。
「…どうして嬉しそうなのさ。」
「だって、久しぶりだろ?デートするの。村田は嬉しくないの?」
「う、うれしい、よ…。」
ちょっと照れたようにはにかんだ村田のこたえ。
ああ、もう。
「村田!」
――どうしてお前は、そんなに可愛いんだ!