れんさい

□黒猫女子 第一夜
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にーにー…
にーにー…
並盛の夜、道かどにある段ボールの中に、真黒い猫が入っていた。
(誰か…拾って下さい…)
そうつぶやいても振り返ってくれることはなく、聞こえても「にーにー」だけであった。
そんななか…
1人の男子が猫が入っている箱に近づいて来た。
(あ!誰か来ました!拾って下さい!)
その男子は『風紀』の腕章が付いた学ランを羽織り、黒猫と同じくらい黒い髪を持っていた。
かなり整っているその顔で黒猫をまじまじと見つめ、頭を一撫でした。
「大丈夫、僕が拾ってあげるよ。」
黒猫の表情はぱあっと明るくなり、尻尾をパタパタと振った。
(ありがとうございます‼)
「?別に僕はそんな御礼を言われるような事はしてないよ?」
ここで黒猫はある違和感を感じていた。
黒猫が話した事柄に少年はちゃんと返しているように聞こえたからだ。
(貴方は僕の声が聞こえるのですか⁉)
「そうみたいだね、なんでだろう…」
黒猫自体も始めての事であり、2人で首を傾げた。
そして2人で笑った。
「僕は雲雀恭弥。君は?」
(僕は骸です!恭弥君ですね?)
「そうだよ?骸、じゃあ家に帰ろっか」
そうして黒猫の骸は、並盛最強で最凶の風紀委員長の雲雀恭弥に拾われた…。


十分くらい歩いて行くと、並盛で有名な和風の豪邸が見えてきた。
(どれが雲雀君の家ですか?)
雲雀は「あれ。」と言いながら、さっき見えた豪邸を指差した。
骸は驚き、つい尻尾を逆立てた。
(え、ええ!!!?すごいですね…)
「すごくないよ、少しお金持ちなだけだよ。」
ガチャリとドアをあけ、てくてくと家に入って行く。
家の中は不自然に静まりかえっていた。
(あの…家の人は?)
「?いないよ?」
本日二度目の驚きを受けた骸だった。

雲雀は骸に家を案内した。
どこも和風でいかにも日本を思わせる室内だった。
最後に着いたのは他の和室より一回り小さく、並盛と書いてある掛軸と庭が見える縁側が特徴の部屋であった。
(ここは…)
「僕の部屋だよ。」
骸は雲雀の腕を降り、キョロキョロと見渡した。
(綺麗な部屋ですねー‼)
「そうでもないよ?」
ゴロンと寝っ転がった雲雀に「おいで?」と言われた、とてとてと近寄った。
「ずっと思っていたんだけどさ、」
(なんですか?)
「なんで僕は骸の声が聞こえるの?」
骸はぴくりと体を震わせ、雲雀から目を逸らした。
(そ、それは…)
言いかけた瞬間、骸に眩しい光が漂い身を包んでいった。
ふとみると10時ちょうどになっていた。
雲雀が次に骸を見たとき、それはさっきの黒猫とは思えない姿になっていた。
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