黒キ国ハ光求メテ

□Prologue
1ページ/1ページ

なあ……俺はなんでこんな世界に生まれたんだ?

いやもう死んだけど……でも、死んでから気づいた。

この世界は、実に馬鹿げている。

剣豪として、剣を振るっていた自分が恥ずかしい。こんな世界、ただ狂ってるだけなのに。

なあ……頼むよ。

聞いてくれよ。俺の話に耳を傾けてくれよ。

−こんな奴が兄で、俺は恥ずかしい。−

弟に最期に言われた言葉が耳にこだまする

。違う。恥ずかしいのは俺のほうだ。

あんな奴が弟で、俺は本当に恥ずかしい。

もう戦いなんてやめろよ。

そうすればみんな笑えるんだろ?

……ああ、表の世界に行きたい。

そうすれば誰か、こんな世界を救ってくれるかもしれないのに。

声は届かない。なにもかもすり抜けて消えていく。

なあ……お願いだ。誰か……











































誰カコノ涙ヲ、透明ニ戻シテクダサイ……
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ