黒キ国ハ光求メテ
□Prologue
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なあ……俺はなんでこんな世界に生まれたんだ?
いやもう死んだけど……でも、死んでから気づいた。
この世界は、実に馬鹿げている。
剣豪として、剣を振るっていた自分が恥ずかしい。こんな世界、ただ狂ってるだけなのに。
なあ……頼むよ。
聞いてくれよ。俺の話に耳を傾けてくれよ。
−こんな奴が兄で、俺は恥ずかしい。−
弟に最期に言われた言葉が耳にこだまする
。違う。恥ずかしいのは俺のほうだ。
あんな奴が弟で、俺は本当に恥ずかしい。
もう戦いなんてやめろよ。
そうすればみんな笑えるんだろ?
……ああ、表の世界に行きたい。
そうすれば誰か、こんな世界を救ってくれるかもしれないのに。
声は届かない。なにもかもすり抜けて消えていく。
なあ……お願いだ。誰か……
誰カコノ涙ヲ、透明ニ戻シテクダサイ……