箱庭王国
□1st Gulty
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月明かりの差し込む森の中。その中を、ひとりの女が走っていた。両手には二人の赤ん坊が抱えられていた。
「ハアッ……ハアッ……」
「待つある!その子たちをどうする気あるか!返すよろし!」
その後ろを赤ん坊の親が追う。女はただひとり、必死に逃げていた。
「桜ー!菊ー!」
しかし赤ん坊が目を覚ますことはない。女はただただ、とにかく走った。
「もうっ……少し……!」
しかし親と女の距離は徐々に縮まっていく。
「さあ、観念するよろし!」
「くっ……」
女は咄嗟に片手に赤ん坊を抱え、石を無造作に親に投げた。
「っ!」
「ごめんねっ……!」
そのうちのひとつが親に当たり、打ち所が悪く親はその場に倒れた。頭部からは血が流れ出していた。
「っ……ごめんなさいっ……」
女は親の亡きがらに謝ると、赤ん坊を抱えたまま小屋の中に入っていった。