文
□ずっと一緒
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仕事もようやく終わり、ケーキも買って
政宗は律を迎えに幼稚園へ向かった。
「あっ、りっちゃん お迎え来たよー」
迎えに着た政宗に気付いた先生が律を呼ぶと、遊びに夢中だった律がばっと顔を上げて、急いで荷物を取りに行き
猛ダッシュで政宗に飛び付いてきた
「はやくかえろっ はやくっ」
律は政宗に飛び付いたかと思うと、ぱっと地面に降りて
政宗の服の裾を掴み、帰宅を急がした。
きっとケーキが溶けるのを心配しているのだろう。
「その前に、先生とお友達にさようならは?」
「せんせいさようならっ
またね ちーくんっ」
「はい、さようなら」
「またねっ りっちゃん」
律は先生と
仲良しな友達のちーくんこと吉野千秋に挨拶をすると
急いで政宗と幼稚園を後にした。
車の中で律は
幼稚園であった事や、友達とどんな事をして遊んだかを政宗に話した
話はどれも楽しかった事ばかりなので
結局今日は何事もなく一日を過ごせた事が分かった政宗は、「だからランキングなんて関係ないんだよ」と言おうとしたが
律があまりに楽しそうに話すので、それを遮りたくないと思い
言うのを止めた。
帰宅して、早速晩御飯を作ろうとしたが、律を見てみると服も顔も泥だらけだったので
先に風呂に入ることにした。
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風呂からあがり
さっぱりした2人は、食卓でご飯を食べて、待ちに待った誕生日ケーキの準備をした。
その間、律は目をキラキラさせて
誕生日ケーキに刺さっていくロウソクを一本一本数えていた。
ロウソクに火もつけ終わり
部屋の明かりも消して準備は万端
あとは律が火を消すだけとなった。
「律、お誕生日おめでとう」
政宗が優しく微笑み掛けると
律はニコッと笑い、ロウソクの火を消した。
部屋の電気を点けると
政宗は律に誕生日プレゼントを渡した
「はい、律 誕生日プレゼント」
「わぁ、これぼくがほしかったほんだ!ありがとう!」
プレゼントは前から律が欲しがっていた本だった。
政宗が漫画編集の仕事をしているからか
律は本が大好きで、週末はいつも政宗と2人で本屋へよく行くほどだ
この前本屋へ行ったときに
お目当ての本が無かったのでガッカリしていたが、政宗がプレゼントとしてくれた本が、そのお目当ての本だったので、律はとても喜んだ。
政宗が律の耳元でそう言うと
律は「それはいいっ」
と、顔は見えないが
きっと真っ赤になって言った。
「それは残念」
変なところで意地を張る律に
政宗は苦笑した。
「おやすみ律・・・。」
「おやすみ まさむね。」