Long

□05
1ページ/1ページ













確信なんて、なかった。



自分の周りにも教室にも、たくさんのレディ達がいて、彼女も同じくその中の一人だったのに。

けれど彼女と目が合った瞬間、大きく心臓が音を立てた。





……嘘だ。


でも確かにこの感覚は、





「れ、レン……?」


「どうしたの?具合悪いの!?」





他のレディ達の声なんて耳に入ってこない。俺はただ、目の前の彼女を見つめていた。


そして、自分でも気づかないうちに足が動いていて。



気づかないうちに、彼女の名前を呼んでいて。






『オレンジ、くん……?』






気づかないうちに、名無しを抱き締めていた。


周りでレディ達の悲鳴が聞こえたけど、今はそれどころじゃない。




夢にも思わなかった。

また彼女と会うことができるなんて、一体誰が想像しただろうか。






どうしよう。



すごく、嬉しい。





『あ、の……っ、苦しッ、』





わかってる。俺だってレディに痛い思いをさせたくなんかないよ。



けど、ごめん。制御できないんだ。

この力も。この感情も。





だって、いつもの俺からなんて考えられないくらい動揺して、彼女にまわるこの腕さえ震えているのだから。


みっともないな、こんな俺。
カッコ悪い。






(でも、もう少しこのままで、)






今はキミのぬくもりを、感じていたいだけなんだ。










― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



この人誰だ。











2012.05.21.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ