企画

□誰のもの?
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「おいお前ら、何してんだよ!」












抱きつかれたまま何をすればよいのかわからず、そのまま直立していた私。

するとホールの方からバタバタと騒がしい足音と怒鳴り声が聞こえてきた。








『うわっ!?』









そして気づけば、今まで視界に映っていたはずのレッドが遠くなっていて。



代わりに私の視界一面を占領したのは、紛れもないピンク色だった。











『お、王子……?』






「……………」










そう。音也くんから庇うように力強く私を抱き寄せる彼は、間違いなく我が主様だった。




しかしなぜか王子は不機嫌そうに眉をしかめながら私たちを一瞥して、やがてキッと音也くんを睨んだ。










「音也っ!てめぇなに人の家来に抱きついてんだよ!」





「えー、ちょっと疲れたから名無しに癒してもらってただけだよー?」





「は?い、癒し…っ!?」









さて鋭かった瞳はどこへやら。さっきの私とまったく同じ反応をする王子。まぁ仕方ないと思う。


疲れを吹き飛ばしたい!=よし名無しに抱きつこう!という方程式が成り立つ音也くんの思考回路はぶっ壊れているんだきっと。





そんなことを考えながらふと顔を上げると、いつの間にやら王子の訝しげな眼がこちらを向いていて。










「名無しも、なんで抵抗しなかったんだよ」





『あ…えー…っとその、』










思わず冷や汗が流れた。




音也くんの瞳がわんこだったので断れませんでした!
なんて言えるわけがない。






何と言えばいいのかわからいまま私が視線を彷徨わせていると、横にいた音也くんは何を思ったのか急にニヨニヨしながら王子を肘でつつき始めた。











「もしかして…翔も名無しに癒してもらいたいんでしょ!」





『は?私に?』






「な………っ!?おま、何言ってんだよ!コイツは俺の家来だぞっ!け、家来に癒してもらう王子なんているわけ」






「とか言って今自分の胸に押し付けているのは何かなぁ?」







「は……?、ってうわぁっ!?ち、違う!これは名無しを守るためであって……その、」









音也くんに指摘されて、私をがっちりホールドしていた王子の腕が一瞬にして離れた。


慌てて弁解しようとしているが、その顔は茹でダコみたいに真っ赤で。












「わ、悪ぃな…」




『い…いえ。大丈夫、です…』












そんな露骨に動揺されると私まで恥ずかしくなります王子…。












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