08/12の日記
01:17
「終りなき夜に生れつく」
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アガサ・クリスティーの非名探偵作品。
タイトルがウィリアム・ブレイクの詩から(和訳の題名も素晴らしい)というあたりで既にオタク心をくすぐります。
そして同じくシェイクスピアのソネットからとった「春にして君を離れ」と似た感じの、どちらかといえばミステリーではなくサスペンス。
この物語の設定は『ナイル殺人事件』と同じではという気はするし、事件が起こるまでが長いのですが、しかし、全体に漂う不穏な空気がうまくて、これは読みごたえのあるいい作品だなあと感じました。
読者が読んでいる時間と空間を支配してしまう。
クリスティの作家としての真骨頂は実はこのタイプの作品なんじゃないかなと思います。
本人もそう思ってたのではないかと密かに思います。
確かドイルもそうでしたが、読者に人気の主人公やシリーズを作者自身はそんなに好きじゃなかったりしますね。
それでキャラを死なせちゃったりする。
有名作家でもそんな感じなのが、作り手と受け手の難しさですねえ。
しかしまたこんな話で申し訳ないんですが、年取ると不具合がいろいろ出てきて、それでまた余計に落ち込んだりしますね・・・
ぼのぼのでスナドリネコさんが「生きていくことは壊れていくことだ。だから生き物は新しいものをつくるしかない。新しいものは余計なものばかりだ。でもその余計なもので不幸になるとしたらその不幸も余計なもの」みたいな名言が最近しみじみわかるような気がします。
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