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□雲行きは晴れ!
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授業をサボりたくなるほどの快晴。

その空の下を贅沢に味わえる屋上に一条君と私はいる。

寒くなってきた季節ではあるけど、今日は快晴のお陰でぽかぽかしてて、お弁当もいつもより美味しく感じる。

厚焼き卵も日差しを浴びてキラッキラッしてるっ美味しそう。


「白鐘君とは転校してくる前から知り合いだったってこと?」
「知り合いって程でもなかったんだけどね」


白鐘君と話した翌日。

何とか誤解は解けた。一条君から見て告白現場に見えたとか…本当に焦った…。


「でも、仲良いよな」
「そう見える?」


仲良いって思われるのは素直に嬉しい。

直人君は(直人君って呼ばせてもらえた)周りの人と一線置いてるし、以前は好意的とは逆に敵意?を向けられた事もあった。

まぁ、それは私達が連続殺人の犯人と疑った時期もあったからみたいだったけど。


――テレビに映り、誘拐された人達を何らかの方法で助けているのではないか……今はそう思ってます――


直人君の言葉が脳裏に甦る。私は色んな意味で迷惑と助けてもらったから、正直に言いたい気持ちはあった。でも……


「仲良いって程、気を許してもらってないよ」


言えないから。

直人君に本当の事……言えないから。


「そうかなぁ? 白鐘君って鳴上とも話してるとこ見たけど、氷月さんの時とは違う気がしてさ」
「違う?」
「氷月さんと喋ってる時よく笑ってるし、表情柔らかいってゆーか……」


上手く伝えられないのか「うーん」と唸ってるけど、何となく言いたい事は分かった。一条君の言う通りなら、本当に嬉しい。


「一条君には、そう見えるんだ……」


少しは仲良くなれてるって思っていいのかな?


「うん。いいお友達ですから!」

「……友達、か」


何故か一条君まで安心したような雰囲気だった。心配してくれてたのかな?

そう思うと気分も上々で食欲が増してくる。

パクパクとお弁当を食べていって、もう少しで食べ終わりそうな頃―――


「それはそうと、もうすぐ修学旅行なんだよな〜」
「あー、もうそんな時期だっけ?」


今年はバタバタしてるから、一年があっという間だなぁ……修学旅行。楽しみだけど、事件大丈夫かな?


「やっぱ、鳴上達と廻るの?」
「特に決めてないんだよね。一条君は長瀬君と?」
「いや、俺も……決めてはないけど」


おっ?おぉ?

もしかして、もしかしなくても!これはチャンスじゃないか!?
そうだよ!こういう時こそ積極的に行くべきだよね!


「あっ、えっと!一条君!」
「え? ど、どうしたの?」


いきなり大きな声を出したせいか、一条君は驚いたみたいで、少し後ずさった。

……がっつきすぎた?……というより、どんだけ迫力あったのさ、私…。
ええい!だけどそんなことに構ってられない!今はとにかく誘うのが先決!


「あのね、あの…」



キーンコーン……



「もう、お昼休み終わりか」


…………………………うわあああああぁぁぁぁん!!!

バカ!私のバカァ!!学校のバカァ!!


黄昏る私なんて露知らず、着々と時間は進んで一条君もお弁当を片付け終わってて「行こうか」と声を掛けてくる。

…………はぁ…、私もちゃっちゃと片付けちゃおう。
お弁当……あとちょっと残ってる…食べたかった……。


一条君が屋上の扉に手を掛けたから、私も後に続いた――けど扉は一向に開かない。
どうしたんだろう?と一条君を見たら一条君も私を見てた。


「あのさ、修学旅行。……鳴上達と一緒じゃないなら、俺と廻らない?」




…………………………。



「も、もももも勿論! ご一緒します!お供します!」
「ははっ、なにそれ」


うわあああああぁぁ!ありがとう!とにかく何でもいいからありがとう!!

結局私からはなんのアプローチもしてないけど、結果オーライってことで!!


早く修学旅行にならないかなぁ!










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