short

□キズ
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あの時は傍にいるのが当たり前で普通のことだと思ってた。

君は僕の隣にいて笑って手を繋いで抱きしめて。



君の体温も感触も覚えてる。
忘れることなんて出来ない。



忘れたいと思っても忘れられない。
君はいつも僕の心に、脳裏に焼き付いてる。




どうして手を離してしまったんだろうか?

どうして傍にいるのが当たり前だと思っていたんだろう?

君は傷ついて泣いていたのに…。
僕は気づかないで、君の心をナイフで引き裂いてた。



初めて愛しいという感情を教えてくれた人だった。


いつも隣にいても心地いいと思えた。

いつも隣にいてほしいと思えた。


どんなに願っても思っても君は僕の隣に来ない。



こんなに苦しくなるなら僕の記憶から消えてよ。







―――恭弥―――







不意に君の声が聞こえて、振り返れば泣きそうな笑顔の君がいた。










〜End〜







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