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□それも愛のかたち
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お前は知らない。



知らなくていい。



でも、知ってほしい。






この汚くて醜い感情を。



けどこの感情は嫌いじゃない。むしろ――――。



















「ディーノさん?」




声を掛けられて我に返れば、すぐ目の前に水和の顔。



自分は寝ていたのか、ぼーっとしていたのか……それさえ曖昧だ。


今だオレの顔を覗き込む水和の頭に手を添えて胸にもたれさせる。



「ディーノさん、寝ぼけてます?」



「……オレ、寝てたか?」


「はい。ぐっすりと」




寝てたのか…。


無意識に口角が上がる。


いい夢を見た。




夢の中で水和は誰の目にも触れない所に居た。
オレが閉じ込めてオレだけを見るようにした。




………でも笑ってなかったんだ……。





笑ってなかったのは残念だったけど、それでも幸せな夢。



本当なら今すぐにでも水和を閉じ込めたい。

オレだけの水和にしたい。





「ディーノさん、もう起きて下さい。仕事が溜まってますよ」




まだ水和の笑顔を見ていたい。
だから、そんなことはしねぇ。―――今はな……。





「……水和」


「あっ……ん、…」



最初から舌を絡めれば、驚いたのか抵抗したけど、押し倒して覆いかぶされば大人しくなった。




「だ、だめですよっ」


「大人しく抱かれてろって」





お前は知らない。



こんなドロドロした感情で水和を抱いてることを。


好きで、好きで仕方ない。



愛おしくて、このまま抱きつづけることが出来たらどれだけ幸せか……。



水和は何も知らないでオレを受け入れる。






こんなオレを水和は知らなくていい。





―――まだ、知らなくていいんだ。









〜End〜







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