PERSONA4
□意地悪は愛です。
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決めた。
私、鳴上君に告白するっ!!!
脈ありだとか、いい雰囲気とかなったことないけど告白するっ!!
女は度胸!当たって砕けろよっ!!
………………あれ?
いい雰囲気になったこと……ない?
………無理。
告白なんて無理です。ごめんなさい。
「はぁ」
「………」
「はぁ〜」
「…………」
「はぁぁ〜〜」
「……………」
「はぁぁ〜〜〜」
「だああぁぁぁっ!!
なんなんだよ!さっきから人の隣でため息ばっかはいて!?」
「反応遅い」
花村はうんざりした表情でやっと私に反応した。
もっと早く気にかけてもいいじゃんよ〜〜。
これだけ分かりやすく悩んでますアピールしてたのにっ!!
「……で?本当にどうしたんだよ?」
…何だかんだ花村は優しい。
うんざりしてたと思ったら今度は本当に心配してくれてるみたいだし、声にも表情にも労ってくれてるのが分かる。
いいやつだなぁ、ほんと。
「……鳴上君に…」
「悠に?」
「…告白、しようと」
「告白!? マジですんのっ!?」
花村めっ。人の話しは最後まで聞けっつの。
まだ告白しようと…しか言ってないからっ!
「しようと思ったんだけど止めた」
「はぁ?」
花村はあからさまに落胆したように肩を下げる。
し、仕方ないじゃん。
思い返してみれば鳴上君と全っ然甘い感じになったこと一回もなかったんだから……。
「理由は?」
「………」
「しようと思った理由と、止めた理由。なんなんだよ?」
これは本格的に相談にのってくれるのかな?
「しようと思った理由は、なかなか進展ないし、関係も変わりそうにないから今のままじゃ駄目だと思ったの」
「まぁ、妥当だな」
「止めた理由は……鳴上君と甘い感じとか、いい雰囲気になったことも脈ありかもって思えた事が一度もないから……怖くなった」
「あ〜……ん〜…」
心当たりがあるように花村は苦い表情になる。ってことは他人から見ても脈なしな私って絶望的?なのに告白しようとか思ってた自分って……。
「もう無理。恋愛なんか知らない。何が恋だバッキャロー」
「自棄になんなって…」
前向きをモットーにしてる私でさえ、これは落ち込む。
泣きたい。泣く。もう知らない。花村が困ろうが私は泣くんだっ!!
「ぐずっ」
「おっおいっ。まさか泣いて、…んのか?」
花村が慌ててるのが分かる。
ガタリッと音がして私のすぐ傍に人の気配。
「なぁ、フラれるって決まったわけじゃないだろ?」
「…………でも…」
「悠だって―――…あっ」
花村が何か言いかけて途中で止まる。
不思議に思った私は顔を上げると、花村は一点を見てポカンとしてる。
私もつられて花村の視線の先を見ようとしたけど出来なかった。
花村が私の腕を焦ったように掴んだから。
「花村?」
「あ〜〜あ、あのよ…」
「ん?」
「なんつーか…その……」
苦々しい顔しながら唸りだす花村を私は不審な目で見る。
一体どうしちゃったんだろ?
「あのさ、……俺じゃ…ダメか?」
時が止まるってこういう事を言うのかな?
ビックリして言葉を失ったけど、すぐに冷静になって我に返る。
ありえない。
花村が私を好きだなんてありえない。
花村と私は仲がいい。それは自信を持って言える。きっと、絶対周りだってそう思ってる。
だけど、私達は恋愛関係にはなりえない。
具体的には言えないけどお互い何となくそう思ってるから。
それに……花村の目を見れば分かる。
告白っぽいことを言われたけど花村からは私が好きって気持ちは伝わってこない。
さっきの苦々しい顔だって、仕方なく言うしかないって感じがするし……。
「どうしたの?」
「どうしたって、お前なぁ…。
だから、俺は水和が好きな」
「うわぁっ!!」
花村が最後まで言う前に私は誰かに思いっきり腕を引っ張られて立ち上がる。