PERSONA4
□意地悪は愛です。
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「水和、行くぞ」
「えっ!?え!? 鳴上君!?」
誰かを確認する前に耳元で聞こえた声は鳴上君で、――つまり私の腕を掴んでるのは鳴上君。
「相棒。あんまりイジメすぎんのもよくねーぞ」
「………あぁ。身を持って知った。
悪いな、陽介。ありがとう」
「おぅ。気にすんなって」
鳴上君と花村は意味ありげに会話してるけど、私はちんぷんかんぷん。
なんで花村が私に告白してきたのか、なんで鳴上君がいるのか、なんで二人は謝って、感謝して、笑い合って、更なる友情を育んでるのか……。
「水和、悪い結果にはならないから安心しろよ」
私は相変わらず鳴上君に腕を掴まれたまま引きずられて、花村のいい笑顔で見送られた。
一体なんなんだ?
そのまま鳴上君に着いていけば…って言うか着いてくしかないんだけど……。
ようやく立ち止まったのは八十稲羽を見渡せる丘。
時々、子供達が遊んでるけど今は子供どころか、人の気配もなくて私達以外見当たらない。
「さっき……」
「さっき?」
いきなり喋りだしたと思ったら、脈絡のないもの。
「さっき陽介に告白されてただろ」
「あ〜〜……ちょっと違う、かも。
陽介は本気じゃないと思うし…」
「それは分かってる」
分かってる?陽介が本気じゃないってこと?
余計に意味が分からなくなる。
花村の考えてる事も鳴上君の行動も意味分かんない。
分かんなくて……自分だけが分かってないんだって無性に泣きたくなった。
「陽介は俺のために水和に告白したんだ」
「……どういう意味?」
「………俺が水和を苛じめすぎたせいなんだ」
「はい!?イジメ!?」
私いつ鳴上君にイジメられてたんだっ!?
あれか!?授業中当てられて嘘の解答教えられたり、シャドウとの戦闘中、何故か私だけ倒れるギリギリに回復されたり、私の弱点属性を持ってるシャドウとわざと戦わせたり、他にもっ…………あれ?マジでイジメられてる?
実は……嫌われ…てた?
「変な想像してるみたいだから言っとくが水和を嫌ってるわけじゃないからな」
「そ、そう……ならよかった……」
本気で嫌われてたら立ち直れないよ…。
でも、それなら何でイジメ?嫌われてはいないんだよね?
それが表情に出てたのか鳴上君は爽やかで見惚れてしまうカッコイイ笑みで疑問に答えてくれた。
「水和の反応が可愛くてな、ついつい苛めちゃうんだよ」
「…か、可愛いっ!?」
鳴上君に可愛いって言われたっ!!後半の言葉なんてどうでもいいどうでもいい!!!
可愛いって言ってもらえるならイジメてくれても……。
嫌々、ただの変態じゃないか私。
あ、でも一つ気になることがあるんだよね。
「陽介はなんで私に告白してきたの?」
「俺にヤキモチ妬かせようとしたんだろうな。……見事に嵌まったけど……」
「……それって…自惚れていいの?」
「…素直に言うよ。
好きだ、水和。俺と付き合ってくれるか?」
「ももももももちろんですっ!!私でよければっ!!」
なんか流されたような気がしないでもないけど鳴上君と付き合えるだけで私は幸せです!!
〜End〜
(さっき言えなかったから…私も鳴上君が大好きです!)
(うん。俺も好きだよ。苛めたいと思うのも、身体を撫で回したい思うのも水和だけだ。それくらい水和が好きなんだ)
(鳴上君っ!!嬉しいっ!!)
(馬鹿だけど可愛くて仕方ないんだから俺も相当な馬鹿だな…)