ちょっくら世界を救ってきます。

□4
1ページ/2ページ




「……そう言えば、落としたって言われてもどこを探せばいいんだろう……」

家を出てきて数十分。
私はポツリと思い浮かんだ事を呟いた。




4,捜索ですよ!





とくにあてもなくフラフラと歩き続ける。

ていうか、こんな広いところから1つの機械……を探すなんて無理な話だよね。機械ってどんなやつかも聞いてないし。

ため息をつきたい気持ちを抑え、私は一応下を向いたり、落ちていそうなところで立ち止まってみたり、探すフリをしてみた。
ザワザワと、人の騒音が耳に纏わりつく。ふと、コンクリート造りの道から顔を上げるとオシャレな店がたくさん並ぶ商店街に来てしまっていた。可愛らしい格好をした学生らしき人たちが楽しそうにお喋りをしながら通り過ぎる。

あ、私場違いかも。

そう思い、今来た道を戻ろうと身を翻す。
その時、クスクスと嫌な笑い声が聞きたくない言葉と共に耳に届いた。


「――ねぇ、あいつ宮島だよな」

「あ、本当だ。こんなところでなにしてんのアイツ」

「……つーか……普段着でもマジキモイな」

「そーゆう事言っちゃダメだってぇ!」


キャハハと、何がおかしいのか甲高い声を上げ大爆笑をする人達。あ、でも本当の事か。
宮島と言うのは私の名字。きっとあの人達は同じクラスの人だろう。チラリとバレないように盗み見すると、あぁやっぱり。見知った顔が2つ、茶色に染めた髪を揺らしながらいやらしく顔を歪め笑っていた。

私は慌ててその場から立ち去る。
ごめんなさい、私が気持ち悪いからあなた達に不快な思いをさせてしまいました。すいません。ごめんなさいすいませんごめんなさいすいませんすいませんすいませんすいません。
ギュッと固く目を閉じながら、ほとんど走るに近い早歩きで歩く。冷や汗が私の首筋を濡らした。心臓が痛い。息が苦しい。どうしよう。


「琴里、」

「……ルイ、さん?」


突然降りかかってきた声。驚いて私が上を見ると両手に大きなビニール袋を下げ、嬉しそうに笑うルイさんがいた。
あれ、なんでこんなところにいるんだろう。
震える両手を背中に隠し私は言った。


「え、と……すいません、なんでここに……」

「スイーツを探し求めてここまで来たのよ。ちょうど良かった!琴里も一緒に探しましょうよ!」

「え、いや……機械は?」

「あぁ、それなら探さなくても国王に言えば作り直してくれる事に気づいたの。さぁ!行きましょう!」

「いや、あの……!」


私の手を掴みグイグイとさっき小走りで来た方向へ引っ張る。
ちょ、その方向はさっきの人達が……!ていうか今まで私がやって来た事全部無駄だったって事じゃないですか!
私の思い虚しく、楽しそうに笑うルイさんに逆らえずさっきの方向へ引きずられながら向かった。





次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ