ちょっくら世界を救ってきます。
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「そう言えばアレモレの倒し方教えてなかったわよね?今から教えるわ」
そう言うと後ろに置いてあった茶色の大きなバックの中を探り出す。
何かを探しているようで、様々な物を出したり入れたりしていた。
1分くらいたっただろうか。漸く見つけたらしき物を手に、ルイさんはこっちへ振り返った。
……なんだろう、その白くて細長い物体は。
「これはね、この世界で言うお札みたいなもので……これをアレモレの背中にかざすの。背中にね。そして"お帰りなさい"と言いなさい。そうすればアレモレはこの世界から消えて無くなるわ」
「き、消える?」
「そうよ。大丈夫、アレモレなんてこの世界から消えてなくなっていい存在だから」
ニッコリと微笑みながら言う。いい笑顔だ。恐ろしい。
だから、そういう事言っていいのかな……。
そう思ったがやはり口にする事が出来なかった。
「これだけ聞けば、まぁ簡単そうに聞こえるけどアレモレもその倒し方を知っていて絶対に背中を見せようとしないから頑張ってね」
「……え、ルイさんは…」
「私はあなたのサポートをするわ、サポート係だもの。ただ、倒すのはあなた」
その為の正義のヒーローだもの。
ポソリとルイさんは呟く。
私はある事を少し疑問に思い、聞いてみた。
「あの、そういえば天界から追い出された方々はこの世界に沢山来てるんですよね?他の県にもいるのに私は私の近くにいる人たちを、あの……倒す?だけでいいんですか?」
「あぁ、それは前にも言ったようにあなた以外にも選ばれた人がいるの。その人たちに他県は割り振られているから大丈夫」
「そ、うですか……」
「それでね、アレモレは人間と全く同じ姿をしているから見つけにくいの。だから天界の国王がアレモレを見つける機械を作り出したんだけどね……」
……え、なんだろうその間は。
「こっちの世界へ来るときにどっかに落としちゃった」
語尾に星マークがつくくらい悪びれずにしれっとルイさんは言った。
いやいやいや落としちゃったって……!
「だからさ、琴里。…………ね?」
「……え、なんのねですかソレ」
「ちょっとその機械探し出してくれない?ついでにアレモレも倒してきてよ」
「いやそんなついでに焼きそばパン買ってこいよみたいなノリで言われましても……てか、あの、ルイさんは……」
「私は少し調べたい事があるの」
ピシッと姿勢を正し少し真剣な顔になったルイさんは言う。その様子に思わず私も自分の姿勢を正してしまった。
そうか、ルイさんもルイさんでちゃんと考えがあるんだな。
「わ、分かりました……。1人じゃ不安ですけど……あの、頑張ります」
「そう。じゃあ私も頑張ってコンビニへ行って大量のスイーツ見つけてくるから」
「いや何の調べ物ですかソレ!完っ全に私事じゃないですか!」
「琴里、昨日私は衝撃を受けたのよ。……この世界のスイーツ……超美味しい」
「だっ……」
だから何ですかぁああ!
そう言おうと思ったが、ちょっと言い過ぎかな、と思い言うのを止めた。
「……わ、分かりました。じゃあ1人で行って来ます」
「あ、ちょっと待って。はい、お札もどき」
お札もどきて……。
クルリとルイさんに背中を向け、出て行こうとした時に差し出されたお札もどき。
私はそれを握りしめ、外へと向かった。