She doesn't like baseball.

□第4話
1ページ/3ページ



「何?梓。」

「おっ前なぁ〜!!他の奴らの前で『梓』って呼ぶな!!あ゛ぁ゛〜自分で自分の名前呼んじまったじゃねえか。」

「...相変わらずだね...。」

「とにかく、他の奴がいる前で呼ぶなよ。」

「はいはい。...で?私に何か用?」

「あぁ〜...涼太兄ちゃん、元気か?」

「うん。元気だけど...。何で?」

「いや、そういえば最近会ってねえなぁ〜って。」

「梓が部活忙しそうだからね。」


何で?って聞かれたとっさの言い訳。花井はこの前泉に話されたことを気にかけているようで...。
でもそんなことは彩乃に言えるわけがなく...。

「それだけ?」

「あ...えっと...あんま抱え込むなよな。」


ドキッ

「な...にが?」

彩乃は一瞬硬直した。

「あれは...もう、気にすんなよ。涼太兄ちゃんだってもう野球に未練があるわけじゃないんだろ?」

「...分かってる...そんなの、分かってる...けど...


ドクンッ

彩乃の脳裏にあの頃の記憶が蘇る。

「ヤダ...」

「彩乃...」

「も、もうこの話は終わり!!」

「それじゃあ、お前が何も進まないだろ?!」



「もういい!!」



 ハッ


「...ご...ゴメン...梓。」

「あ、俺のほうこそ。」

「そ...そろそろ昼休み終わるね...。もう戻ろっか。」

「おぉ。」

「じゃーね。」


そう言って2人はそれぞれの教室に戻る。

(...高校入ってからあんま話すことがなくなっちまったけど...彩乃、やっぱあの事引きずってたのかよ。今だに?何で気付かなかったんだ?)


花井は色々なことを考えながら教室へと進む。
まさか野球部の人達に冷たい態度をとっているだなんて思わなかった。中学の時は普通に野球部の奴らとも仲がよかったのだから...

何でだ?
俺、今までずっと彩乃の側にいたっつーのに、全然彩乃のこと分かってなかったのかよ...。最低だ俺。
そんな事を考え、自分を責める花井。


その頃...泉は...

(神崎...戻ってきた...けど、何があったんだ?マジで。)

今日の昼休みには色々なことがあって頭が混乱した。
その後の授業も受け、

放課後の部活...

9組メンバーでグラウンドに向かおうとしている時に、花井がいた...からつい、

「花井。」

と呼び止めてしまった。

「ん?おぉ。泉か。」


...あれ?何か花井...また様子変だな...何だか...
神崎と話したんだよな?
聞いてみてもいいかな?

そうこう考えてるうちに、田島や三橋、練習の手伝いをしている浜田にまでおいていかれてしまった。
けど俺は気にしなかった。
俺が気になるのは...
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ