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□お迎えに参りました
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ゴートはホーリーロードが終わって暫くしたら、未来へと帰って行った。
俺は新雲のコーチだったから、レジスタンス側であるゴートとは滅多に会う事は出来なかったけど、連絡はだけはとっていた。
それなのに、この現状はなんだろう。
まだ三ヶ月ぐらいしか経っていないのに、目の前にゴートがいる。
「どうしたんです光太?」
「どうしたんです?じゃないよゴート!!何で君がここに……」
「わっちは光太を迎えに来たんです。未来を守るために」
俺は今サッカーを守るために、エルドラドと戦う雷門をコーチとして支えている。
主に教えているのはタイムジャンプはしていない、雷門に残る部員達にだ。
ゴートはそれを知っているから、俺を迎えに来たと言ったのかな?
でも、確か王牙学園とエルドラドは時代が違うらしいし……。
それに、何でサッカーじゃなくて未来だったんだろう。
考えれば考えていく程分からなくなっていく。
「ゴート、あのさ。」
「ん?何ですか」
「俺、頭の中が整理が出来ていなくて……まず何で俺なの?豪炎寺や鬼道の方が俺は良いと思うんだけど」
「……驚かないで下さいね。実はわっち、エルドラドの人間何です」
「え、……ええ!?」
身構えていたけど、予想の右斜め上をいく答えで驚いてしまった。
いや、だって自分と戦っている相手から突然協力を求められたら、誰だって同じ反応をとるよ普通。
「でも何でゴートがエルドラドに」
「話すと長くなりますが、それでも良ければ」
「大丈夫だよ」
「では。わっちが戻った後……」
ゴートから沢山の話を聞いた。
エルドラドの一員となった経緯は勿論、何故エルドラドがサッカーを無くそうとしたのか、また新たなる敵であるセカンドステージチルドレンの事なども。
信じられない事ばかりだったけど、ゴートが丁寧に説明してくれたから、直ぐに納得がいった。
流石、本を沢山読んでいるだけあるよ。
「それで、ゴート」
「はい?」
「何で俺は豪炎寺や鬼道と一緒に説明を受けないのかなって。三人まとめて話した方が楽なんじゃない?」
「そ、それは……」
「それは?」
「言うわけないじゃないですか!(光太に会いたかったからって)」
きっぱり言っちゃってるから、流石に聞けないかな……。
まぁ、ゴートの態度からなんとなく分かるけど。
きっと俺に会いたかったから?とかだと思う。
だって俺もゴートの会いたかったわけだしね。
「光太」
「ん?なに」
「話は戻りますが……わっちに付いて来てくれますか?」
勿論、俺の意見は既に決まっている。
たとえそれが他の奴らと違っていたとしても、俺は曲げるつもりは更々ない。
サッカーのこと云々もあるけど、やっぱり自分の気持ちには素直でいたい。
だから俺はゴートにこう言った。
「ゴートと一緒に未来に行くよ」
「光太……!それは本当ですか?」
「何でここで嘘をつかなきゃいけないのさ」
「だって、断られると思っていたので……つい」
「ゴートの頼みを断わることなんて、俺には出来ないよ。だからさ、泣かないで」
俺はゴートの事を抱きしめ、頭を撫でてあげた。
それはゴートが泣き止むまで続けられ、泣き止んだ頃には、ゴートの鼻は真っ赤になっていた。
色々悩んだんだろうな……ゴート。
俺にどう伝えようかって。
もし俺がゴートの立場だったら、本当悩むだろうし。
「もう、大丈夫ですよ光太」
「なら良かった」
「さぁ、もう未来に行きましょう」
「え、もう!?」
「下準備が必要なので。光太、わっちが以前渡したブレスレットは持っていますか?」
「これのこと?」
「そうです!」
ゴートに肌身離さず持っていて欲しい、と言われたブレスレットは、簡単に言えばタイムマシーンの役割をもつらしくて、流石は未来だなと思った。
確か、豪炎寺も同じのを持っていたのでその事をゴートに伝えると驚いた顔をしていた。
何故なら、ゴートは俺にしかこのブレスレットを渡していないらしい。
ゴートの憶測では、エルドラドの一員では無いが同じく未来を救いたいと思っている人物だって言っている。
こんな話をしながらも使い方を理解する事が出来た。
「さぁ行きますよ」
「うん、いつでも大丈夫」
未来がどうなるか、過去の人間である俺が関わったからって分からない。
けどゴートと一緒なら、何でも出来る気がするんだ。
fin.