その花びらにくちづけを
□オレンジ安定剤
4ページ/4ページ
私は急いで床に落ちた飴袋を拾って彼女の元へ行く。
「うあぁぁぁっ・・・っ」
大声をあげてスーパーの床で弱く泣くレオの姿は。
今までにない、子供っぽくて可愛らしい姿だった。
『ごめんね、レオ。お待たせ。』
「遅いよ・・・っ」
しゃがんでそっと彼女を抱きしめる。
割れ物を扱うかのように。
そして彼女の頭を撫でてやる。
レオは泣き虫だから。
昔からこうして頭を撫でてやるとすぐに泣きやむということを知っていた。
それは「幼馴染」じゃなかったら知らないことだと思う。
私は「幼馴染」で良かったと再認識した。
「美並の・・・ばかぁっ」
『・・・馬鹿でいい』
レオの頭から手を離し、頬に持ってくる。
『馬鹿でいい。こうしてレオと一緒にいられるのなら。』
それでいい。
「んぅ・・・むっ・・・」
彼女の舌を絡め取って。
歯列をなぞって。
最後に彼女の唇を舐める。
『ご馳走様』
と一言言うと
「私は・・・はぁっ美並の飴じゃな・・・い・・・」
と肩で息を整えながら彼女が言った。
どっちかというと、私にとってのレオは
「精神安定剤」の方が正しいのかもしれない。
end