その花びらにくちづけを

□オレンジ安定剤
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「へ・・・?」



レオは首を傾げている。
言った意味が理解できていないのだろう。

でも・・・余裕がないって・・・。
いくらなんでもアホすぎる。
「発情期」の高校生じゃあるまいし・・・。


そこでハッとする。
もしかして自分は「発情期」なんじゃないかと。



『・・・ごめん。ちょっとあっち行ってくる』



こんな汚い感情では彼女と接して居られない。
そう思った私は頭を冷やすために彼女と離れることにした。
私は彼女をその場に置いてお菓子コーナーに歩き出した。











・・・。
どうしちゃったんだろう・・・。


私、何か悪いことしたのかな?

玲緒の胸の中は不安でいっぱいだった。



玲緒と美並は昔から一緒だった。
お互いに両親は居ない。
二人とも児童擁護施設に居た。


親が居ないことは悲しくない。
悲しいことは、私の目の前から「美並」が消えること。


私には何もない。
空っぽなんだ。

なのに美並は


『私はレオのこと好きだよ』


と言ってくれた。
とても嬉しかった。



空っぽな私を「好き」だと言ってくれた。
私はその言葉に救われたんだ。

だから今の私が居る。

でもどうしてだろう。
貴方が「傍に居てほしい」と私に言ってくれたことはない。
それは私が嫌いだからなの?


あの言葉は「嘘」だったの?


ねぇ。
貴方は離れて行ってしまうの?


嫌だ。嫌だ。やだ。嫌。


そんな言葉は聞きたくない。


もっと傍に居て。
もっと私を叱って。

その手で、もっと頭を撫でて欲しいよ・・・。



玲緒は不安になっていくばかりだった。
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