わんこな恋人

□04
1ページ/1ページ




〈先輩、屋上来てください。〉


メールがきてたのは昼休み前の授業の途中で。

昼休みになってから、メールがきていたことに気付いた。


なにかあったのかと、急いで屋上に向かう。


「…志良?」


屋上に着くと、見慣れたくせ毛がフェンスに背中を預け、膝を抱えて小さくなっていた。

静かに声をかけると、ゆっくり顔を上げてこっちを見た。


「せんぱ、い…。」


志良の顔は目も鼻も真っ赤で、涙の跡がたくさんついていて。

俺を確認した途端に、顔を歪めてぼろぼろと泣き出してしまった。


びっくりして駆け寄る。


「どうした?なんか嫌なことでもあった?」

「ん…。やな夢、みた。」

「お前、小さい子供じゃないんだから…。」


俺を見上げ弱々しく両手を広げた志良の足の間に入り、膝立ちになって、辛そうに揺れる頭を抱え込む。

先輩、と何度も呟きながら、しがみつくように抱き締められた。


「先輩、大好き。だから、離れていかないで、」


あぁ、俺にフラれる夢でも見たのか。


思わず苦笑いする。


「離れないよ。」


普段泣いたりしないのに、俺のことになるとこんなに辛そうにする。

そういうとこを見ると、不謹慎だけどやっぱり嬉しくて。

志良を好きになって本当に良かった、そう思う。


甘い思考に流されるように、腕の中で鼻を啜る志良の髪にキスを落とした。




わんこの嫌な夢




「先輩がゴールデン飼うって言ったんです。それで俺と別れたいって…。」

「はあ?お前なにそれ。」

「俺じゃダメですか!?ゴールデンがいいんですか!?」

「落ち着けよ。もしゴールデン飼っても、お前と別れるわけないだろ。」

「それは二股宣言ですか!」

「あーもう!犬と張り合うな!」




先輩が好きになっちゃったら、犬だってライバルなんです!




――――――――――――
志良は基本泣きません。
でも尚のことになるとだめ的な(笑)
とりあえずゴールデンかわいいです。まじで。

130315

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ