わんこな恋人

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「尚せんぱーい!」


小さく俺を呼ぶ声がした。

すぐ横の窓から下を見ると、ぴょんぴょん跳ねてこっちに手を振っている人影。


後輩で恋人の志良だった。

身長185センチ近くある、端正な顔立ちをした、正真正銘の男。


そして俺も、正真正銘の男。


告白されて一度断っても全く諦めることのなかった志良に、俺は惚れてしまった。

単純なのかもしれない。


そりゃ今はすごい好きだけど。

笑うと垂れる目とか、ちょっと見える八重歯とか。

大型犬みたいなとこも、まっすぐなとこも、ばかなとこも。


志良を見てほとんど無意識に笑っていると、先生が窓から顔を出し、ドスを効かせた声で怒鳴った。


「比島ぁ!こっちは授業中なんだよボケ!邪魔すんなカス!」

「わっ、坂ちゃん!?ごめーん!」


坂ちゃんってのは、今怒鳴ってた坂江先生のこと。

裏でヤの付く職業をやってる疑惑が浮上してるが、授業は分かりやすいし、元がかっこいいので、生徒からの人気は高い。

…これだからイケメンは。


友達を置いて志良は玄関に全力で走っていった。

ばーか!と、志良のクラスメイト達がからかっているのが聞こえる。

その姿に俺は思わず吹き出しそうになったが、先生の視線がこっちに向いたのを感じて、前を見た。


にこやかな笑顔で先生はこっちを見ている。怖い。


「浅木ー。犬のしつけは、ちゃんとしような?」

「だから志良は犬じゃな…、すいません。よく言い聞かせます。」


このクラスでの志良のイメージは、俺の愛犬だと、友達から聞いた。

坂江先生からしてもそうらしく、よく今みたいなことを言われる。


反論しようとすれば、ものすごい目力で見てくるので、俺は反論してる途中で謝ることが多い。


先生が一つため息を吐き、授業を再開しようとした瞬間、チャイムが鳴る。

俺は先生と目を合わせないように、ノートに視線を落とした。




うちの愛犬




「尚せんぱー…、げっ!坂ちゃん!」

「よぉ、比島。お前放課後ちょっと数学準備室来いや」

「やだ!俺、尚先輩と帰んないとだし。」

「じゃあ浅木、お前も一緒に来い。」

「……切実に巻き込まないでください。」




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本当は連載する予定じゃなかったもの(笑)
完結という未来が見えません←

130304

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