一話物語
□I can fly?
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ガサガサガサッ
騒がしく草木のぶつかる音に続く、全身を襲う鈍い痛み。
目の前がチカチカと光る。
「……い、たぁ…」
掠れ気味な自分の声に顔をしかめた。
だけど受け身をとれたおかげか気絶しないで済んだのは幸いだったと思う。
上体を起こそうと肘を付くと、足から背中、首筋までがっつり鋭い痛みが貫く。
そのせいで支えきれずに背中を強打。
ため息をついて目を閉じた。
寝たら死ぬかな。
おかしいなぁ…。
こんな風になる予定じゃなかったんだけれど。
呼吸する度に心なしか痛む腹を意識して、細く浅く息を吐く。
「羽根木!」
聞き覚えのある声に薄く目を開く。
目の前に見慣れた顔があった。
「ぁー…、のら…?」
「のらじゃねーよ!野間だボケ!」
「のら…、とりあ、えず…、救急車…呼んで、くれ…と、…嬉し…な」
俺の言葉を聞いて、のらは慌ててケータイを取り出した。
あまりの慌てっぷりに軽く吹き出すと怒鳴られてしまった。
電話をかけ終わり、救急車が来るまで、簡単な応急処置をしてくれたのら。
救急車にも付き添いで乗ってくれたけど、すごい眉間にシワが寄ってて怖かった。
「処置が終わったら説教だ。覚悟しとけ」
処置室に入る前、言われた言葉。
あまりにまじな目に苦笑いを返した。
I can fly?
「飛べるかと、思ったんだけれど」
「…は、」
「ほら、うちの校舎って屋上から体育館の屋根が近いじゃない?」
「まさか飛び移ろうとしたわけ?」
「人間は飛距離が短いことがよく分かったよ」
「ああそう……、あんま心配かけないでくれる」
「はーい」
もうやりません。
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不思議くんを書きたかったのですが…。
あれー?不思議くん…?
しかもBLぽくない!
絶対リベンジしますリベンジ。
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