一話物語
□こいに落ちるおとがした
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背を向けた彼は、ひどく儚げで。
「おい。」
気付けば声をかけていた。
「…おー。お前、まだ残ってたんだ。」
「なにしてんの。」
「なにって…、」
目が合い俺が黙まっていると、さすがに居心地が悪くなったらしい。
苦笑いをしながら、スッと目が逸らされた。
彼と俺はただのクラスメイトだった。
ほとんど話すこともないような、本当にただのクラスメイト。
「…俺はいくよ。お前早く帰れよー!」
言いながら俺に背を向け、一度大きく伸びをする彼。
すぐにまたこっちを振り返り、顔の横で小さく手を振った。
「…じゃあね。ばいばい。」
ふわりとした優しそうな、でも儚げな笑顔。
あ、と思った時にはもう。
こいに落ちるおとがした
(ねえ、君の背中を)
(追いかけてもいいですか?)
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結構前から考えてた話。
結局うまくまとめられなかった…。
「こいに落ちるおとがした」
実は二つの意味があります。
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