一話物語

□こいに落ちるおとがした
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背を向けた彼は、ひどく儚げで。


「おい。」


気付けば声をかけていた。


「…おー。お前、まだ残ってたんだ。」

「なにしてんの。」

「なにって…、」


目が合い俺が黙まっていると、さすがに居心地が悪くなったらしい。

苦笑いをしながら、スッと目が逸らされた。


彼と俺はただのクラスメイトだった。

ほとんど話すこともないような、本当にただのクラスメイト。


「…俺はいくよ。お前早く帰れよー!」


言いながら俺に背を向け、一度大きく伸びをする彼。

すぐにまたこっちを振り返り、顔の横で小さく手を振った。


「…じゃあね。ばいばい。」


ふわりとした優しそうな、でも儚げな笑顔。


あ、と思った時にはもう。




こいに落ちるおとがした




(ねえ、君の背中を)

(追いかけてもいいですか?)




――――――――――――
結構前から考えてた話。
結局うまくまとめられなかった…。
「こいに落ちるおとがした」
実は二つの意味があります。

130228

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