ラビリナ

□使い掛けの消しゴム
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鐘が鳴るまであと何分?









その間にオレの頭の中は君で埋め尽くされる














使い掛けの消しゴム


















調度お腹が減ってくる三時限目。しかも教科は歴史。どんなに頭が良い生徒だって歴史の勉強は眠くなるに決まってる。永遠に、淡々と歴史について教師が語るだけだからだ。今日も教師が勝手に話をしているのかと思いきや違った。





今日に限って黒板に永遠に、淡々と文字を書き続けているのだ。ノートに写すより、教師が勝手に語り続けている方がよっぽとましだろ。だって時には教師の語りが子守唄に聞こえて来る。








そんな事を考えながら黒板の文字を写しているラビ。早く終わらないかと机を小さく揺らしながら(腹減ったさ)とか考えてる間にも教師は勝手に黒板に歴史を書き続けているのであった。今のラビの頭の中を大まかに分けると、半分は腹が減った。もう半分は、眠い、かったるい等だろう。




カリカリカリ





しんと静まり返っている教室に教師が永遠と書き続けている文字を必死で書き写している生徒のシャーペンの音がただただ、何分間も続いている。なんてつまらない授業なんだ。もっと、楽しくならないのさとラビは手を止めて考えていた。だが考えている暇なんて何処にもない。早く黒板の文字を書き写さなければと気付きラビは手を動かし始めた。が、ノートに文字を書いて気付いた。字が間違ったことに。ガサゴソと筆箱をあさるが消しゴムが見当たらない。仕方ないと思いラビは隣の席の女子に話しかけた。




「リナリー、消しゴム貸してさ」




申し訳無さそうにラビが言うとリナリーは




「使い掛けの消しゴムだけど…はい」




と笑顔でラビの手の上に消しゴムを置いた。ラビは調子にのったのかリナリーに





「歴史って眠くならないさ?」





と喋り始めた。




「ええ。とても。先生が永遠に淡々と語るか、書くかのどっちかだもの」




リナリーは はァ、とため息交じりに答えた。





「やっぱ!?オレも同じ事思ってた」





同じことを考えていたリナリーとラビは二人でクスクスと笑い合った。   そこに教師が



「ラビ、リナリー、静かに」





と釘をさしたのだがそれにも二人はクスクスと笑うのだった。





「あはは、ラビと同じこと思ってたなんて偶然よね」




リナリーは黒板の文字をノートに書き写しながらもラビと話してる。





「な、すげー偶然さ」




使いかけの消しゴムで文字を消しながらラビは答える。






歴史なんて永遠に教師が語っているかと思ったのが、今日は書き続けている。今日も眠いと思っていたのが君との会話で楽しくなった。       





こんな風に思えたのも君が貸してくれた使い掛けの消しゴムのおかげ

















     END














080112---愛

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