隠者の遺影

めも
◆四代目 

孤独なる月








明かりを消した部屋の中、布団の冷たさに人肌が恋しくなる。

皆が寝静まっていくのに目が冴えて眠れない夜は、1人取り残されたみたいで嫌い。

涙が寂しさを助長するが、枕に吸い込まれていくたび、
熱を持った目頭は冷えて静かに瞼を閉じる。

諦めの感情が沸き起こり、自分の体温で暖かくなった布団に潜る。

寂しいと言葉にすることは出来るようになったけど、そう現実は甘くない。



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メニューは、省きます。

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会いたい時に会えるほど、時間は無数にない。

ゆっくりと薄れてゆく意識の中で、ぼんやりと考える。

諦めを覚えたのは、いつのことだったか…。


2012/12/01(Sat) 23:17 

◆三代目 




思いを声に出しても言葉にしても届かないなら諦めよう。

届かないのならば、虚しいだけの行為だから全て諦めよう。

思えば思うほど、辛く悲しくなるから。

この心にお別れを言おう。

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メニューは、省きます。

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“死んでしまいたい。”

そう言葉にするのは、誰かに止めてほしいから。

孤独じゃないって、証明してほしいから。

狡い人間だ。
そう言われれば、満面の笑顔で返してあげる。

“当然でしょう”ってね。


2010/04/02(Fri) 15:48 

◆二代目 

淋しいと叫んでもこの声は誰にも届かなくて、虚しく空に消えただけ。

初めて孤独を知ったよ。

そして、今まで見てた幻がどれほど温かかったかを知った。

しかし、もう戻る事など出来はしない。

異形の月は嘆いた。
『あぁ神様!こんな私をお救い下さい。』

しかし、返事はなかった。
やはり神などいない。







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メニュー省きます。

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ただ沈黙する闇。

しかし、
確固な物として存在する闇が妬ましかった。

異形の月は涙を流した。

いくら神でも、異形は愛せぬか。



2010/04/02(Fri) 15:46 

◆初代 



月は浮かんでいた。

傍らにある筈の雲も星も今は無い。

窓に切り取られた世界に唯一つ。

唯一つ、存在していた…。

孤独なる月は、静寂だけを携えて…。


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メニューは、省きます。

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下らない現実から逃避してみようと目を閉じた。

でも、目を開ければ
そこに下らない現実が変わらず存在していた。

しかし、そんな事は目を開ける前から解っていた。

最初から解っていた事…。

だけど私は、目を閉じた。

「それでも構わない。」と…。



2010/04/02(Fri) 15:45 

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