迷走する回廊

□一時の幻想
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「一時の幻想」



穢れた僕は、
澄んだ月を見て綺麗だと思う。

僕は、
そこで改めて思い知る。

月を綺麗だと思う心を、
喪っていないという事を。

そんな自分が、
可笑しくてふっと笑う…。

開け放った窓からは、
心地好い風が入り、
髪を撫でる。

いつもは今頃、
激情に駆られている筈のに、
今日は心穏やかだ。

何故だろう?

今日は、
月が泣いていないからだろうか?

まぁ、何だって良いか…。

何にせよ、穏やかなんだ…。

良い事じゃないか。

こんな気持ちになるのは、
何年ぶりだろう?

わからない…。
だけど良いや…。

そんな事は、
考えなくても良い…。

この気持ちが、
台無しになって仕舞いそうだ。

せっかくだから、
今日は、このまま眠ろう…。

お休み…。

今日は良い夢が、
視られると良い…。





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