強欲なる食堂

□片思い
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「片思い」


誰も愛さない君。

君は、
僕など見ていないのでしょう?

僕に
誰かの面影を重ねているだけ。

君の心を探しても
僕はいない。

いるのは、
名前も知らない誰か。

きっと、
君が僕を見てくれる事など、
万一もない。

僕が
どんなに思っていても
君の心においてはくれない。

君が芽吹かせた小さな芽が、
育たず凍えているよ。

あぁ。
僕の日々は、嘆息ばかり。

信じれるモノなど、
何処にもない。

だから、
僕が背を預けるのは、
温かい君の背じゃない。

冷たい無機質な壁。

「裏切り者」
そう言って、
罵りたいけど、
君は裏切ってなどいない。

むしろ、
裏切り者は僕。

隠した心が痛い。
だけど、
涙など流せはしない。

凍えた心が崩れてゆく。
赤い飛沫も零すこともなく、
赤いガラスの破片を散らして。

君の存在など、
知らなければ良かった。

麗しき姫君。
私は、あなたが嫌いです。





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