ゆめめめーん

□探してもらいました。
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目が覚めました。頭を動かしてみると首がグイッと引っ張られます。鎖で繋がれており、一定以上は動かせないようになっていました。手足、は動きます。どうやら、今私は首だけが鎖で繋がれている状況のようでした。
記憶があるのが家に行ったときまでですから、てっきり家にいるものかと思っていましたが。

「…どこなんでしょうここは」

とても薄暗くじめっとしていて、到底私の家とは思えない場所でした。

まだ何か情報はないかと視線を動かしていると、カツカツと靴の音が響き渡りました。

「起きたか」
「っ! …どなたですか」
「あ?心優しいオニーサン'sに決まってんだろ」
「オニーサン!?」
「驚くとこそこかよ」

2人の男性が私が繋がれているすぐ近くに歩み寄ってきました。聞き覚えのある声です。顔を上げると、ほんの少しですが隙間光に照らされて2人の顔が見えました。

「あなた達は…」
「久しぶりだな、ねーちゃん。あの時は世話になったぜ」

ニヤニヤとした笑みを浮かべながらそう話す男性に、私は見覚えがありました。1ヶ月と少し前、家に侵入し私を人質にしたテロ組織のうちの、生き残った2人です。不気味な笑みに、ゾクッと背筋に冷や汗が流れました。未だ寝転がったままの私と視線を合わせるように、1人の男性がしゃがみ込みました。

「1ヶ月家に張った甲斐があったぜ。本当は軍施設にでもくくりつけて一緒に爆破しようかとも思ったが…」

男性はそこで言葉を切ると、私の顎をくいっと持ち上げて、更に顔を近づけました。

「案外可愛らしい顔してるんでね、生かしといてやるよ」
「ただし」

もう1人の男性の声が部屋に響きました。そちらに目を向けると、同じようにニヤっと口角を上げて口を開きました。

「俺達の玩具としてな」

思わず眉を潜めましたが、意図を汲み取るとはっとして顎を持たれていた手を頭(かぶり)をふって振り払い、私は慌てて立ち上がりました。

「そ、そんなの嫌…っ!」
「ジョー」
「あいよ」
「きゃっ、な、何…!?」

突然、"ジョー"と呼ばれた男性に後ろから抱きつかれました。振り離そうにも腕を掴まれてしまい、抵抗もできない私は恐る恐る前を見ると、もう1人の男性が楽しそうに口元を歪めています。

「逃げたら…分かってるな?」

地を這うような低い声で言われました。私は恐怖で涙ながらにコクコクとうなずくことしかできませんでした。




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「おかしい」

僕はぽつりとそう呟いた。名無しさんがいなくなってから1ヶ月。いなくなったっていうか、友達の結婚式に行ってるんだけど。

「…おかしい、よなぁ」

また口から言葉が漏れた。僕的には一週間位で帰ってくるもんだと思ってて、買い物に行ってから別々に帰ってきた時、名無しさんが帰っていなかった時も特に気にしていなかった。

そのうち帰ってくるだろって思って。

一週間位は、まあ別に平気だったんだけど、1ヶ月ともなると…。

「…何していいか、わかんないんだけど」

名無しさんと出会ってから、毎日のように彼女のところに入り浸っていたから、彼女がいないと何をしていいかわからなくなった。いや、仕事はしてるし、名無しさんと出会う前も多分何かしらしてたんだけどさ。

てか、喪失感がヤバいんだよね。

ぶっちゃけて言うと、寂しい。僕の名無しさんが自分が知らないとこで1ヶ月も何してるのかって。僕は名無しさんがいないと何していいかわかんないくらいなのに、彼女はそんなこと思っているなんて知らずに、1ヶ月放置。…なーんか、もう、限界。

「迎えにいくか」

どこにいるとかわかんないけど。多分探せる、気がする。

だって、

「僕の名無しさんだしね」

「エンヴィー、仕事よ」

恥ずかしい独り言を呟いた直後に、ラストが僕を訪ねてきた。聞かれたかも…っと思ったけど、何も言ってこないから多分セーフ。…あぶねー。


「この間名無しさんを人質にしたテロ組織があったでしょう。そのとき始末し損ねたんだけど、生き残った連中が何やらコソコソ動いてるらしいの」

だから潰してきてちょうだい、と最後に付け加えるラストに、僕はあのさーと言葉を繋いだ。

「悪いんだけど、僕今から大事な用があるんだよね」

「だからラスト、代わりに頼むよ」と、いつものようにヘラヘラした調子で彼女に手を合わせた。

ラストはしばらく僕に視線を送っていたが、ふぅ、とため息をつきながら踵を返すと僕に背中を向けたまま口を開いた。

「…そのテロ組織の基地にね、1ヶ月程前女が運ばれてきたって情報が入ったの」

1ヶ月前…女が…?

「…」
「まぁ、あなたの話によれば名無しさんは1ヶ月もお友達のところに行ってるみたいだし」
「今の今まで連絡がないなんて、'私は'おかしいと思うけれど」
「噂じゃそいつらの玩具にされてる、なんて言われているけれど、まああなたには関係ないはな…」

ドゴッ!と、大きな音が鳴った。

正確には僕が壁を殴ったんだけど。パラパラと破片が落ちて、手についた細かい塵をふっと息で払う。

「ババア」

ラストはもう一度こちらを向くと、「何かしら」と冷静な声で問う。

「そいつらの基地、どこだ」
「あら。行くの?」
「当たり前じゃん。名無しさん捜すついでに、そいつらも消してやるよ」

ニヤリ、と殺気を出して黒い笑みを浮かべると、ラストは満足そうに「あらそう」ニッコリと笑った。

「エンヴィーの名無しさん、無事だと良いわね」

じゃあ頑張ってね、とツカツカとヒールの音を響かせながら歩いていくオバハンの後ろ姿を見つめながら、僕の額に青筋がピキッと浮かび上がった。




…クソババアが。





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「む、はぁ…ぅ、ん…はぁっ」
「は…いいぜ、ねーちゃん。相変わらずうめぇな」

じゅるっじゅぽ…じゅぽ…。

連れてこられて1ヶ月程たったでしょうか。私はあれから毎日、彼らの相手をしなければなりませんでした。

「も、ゆるして、くらは…いっ…」

2人かと思っていたテロ組織の生き残りは、もっと沢山いたようで毎日3人ずつほど、違う男性の相手をしました。幸いにもお風呂は毎日入れますが、トイレと食事、睡眠のとき以外はずっと彼らの相手でした。私に脅しをかけてきた男は"ニルト"というらしく彼とジョーが、この組織のトップのようでした。

「何言ってんだよ、ここはこんな喜んでるぜ」

私は服もろくに着せられず、麻縄で手首を縛られて無理やり口の中にジョーの汚い自身が突っ込まれていました。お尻を突き上げる体勢でやらされ、噛みちぎろうかと思いましたが私の下半身には、ニルトの自身が繋がっておりそんな抵抗もできません。

聞きたくない、出したくない自分の声が部屋に反響して耳に入りました。

「はぁ、ぁあ、んぅ、ゃ、いや、やぁあ!」
「いいぜ…っ、お前の中締め付けが最高だ…!」
「おら、俺への奉仕も忘れんじゃねぇ」

ニルトの腰の動きに思わず口を離すと、ジョーが私の口にねじ込み、グイッと喉の奥を突き上げました。

「っ!ぅおぇっ、ぁ、はっ、ああ、!」
「あ、やべぇ、でる、でる!」
「…俺もだ。ねーちゃん、しっかり受け止めろよ!」
「や、ひ、ああ、ぁっああ!」


びゅるるる!

私の口と膣内への射精に悪寒が走り、思わず目から涙が零れました。流石に最初のように嗚咽を漏らすほど泣きじゃくることはなくなりましたが、それでも、気持ち悪いこの感覚になれることはなく、ぬちょりと抜かれる自身に安堵のため息をつくしかできませんでした。

「ふぅ…じゃあ仕事行くか」
「はー。せめて余韻に浸らせろよな」
「しょうがねぇだろ、最近軍の奴らが俺らのこと嗅ぎ回ってるらしいぜ」

ピクッと、"軍"という言葉に思わず身体が反応しました。けれど彼らは気づくことなく会話を続けます。

「マジかよ。ま、その辺は下っ端のやつらがうまくまいてくれるだろ」

「おら、さっさと着替えていくぞ」
「あいよ」

早々と服を着て出て行く彼らを黙って見送りながら、私はもう1ヶ月も会っていないエンヴィーさんのことを思い出しました。

買い物の帰り際、頭に置かれた手の感覚。この間まで鮮明に覚えていたのに、今は掠れた絵の具のように、曖昧にしか思い出せなくなりました。
それは、私が汚れすぎたからかもしれません。
綺麗な彼には、今の私は不釣り合いになってしまいました。

「…エンヴィー、さん…っ」

悔しくて悲しくて、私の目からは沢山の涙が溢れ出ました。

'助けてください'

そんな言葉は言えないと、嗚咽と共に飲み込みました。




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『奴らの基地は山の麓らしいわ』

ラストの言葉通り、山の麓にはそれらしき古い建物があった。もしかしたら噂の女は名無しさんじゃないかもしれないっていう淡い期待を寄せながら、来る途中以前の彼女の家に寄ってみた。もちろん彼女はいなかったが、代わりに別の女性が不安そうに玄関先に立っていたのを見つけた。

『あんた、この家に用?』
『…あ、友達の家で…結婚式、来てくれるはずだったんですけど、来なくて…連絡もつかないから、それで…』

で、ビンゴ。あの建物にいるっていう女は名無しさんで間違いないってわけ。ゴチャゴチャ作戦とか考えるのは面倒だしここは強行突破ということで。


僕は、屋根をぶち破って建物にお邪魔した。
もちろん、名無しさんを捜すために。
















捜してもらいました。
(大きな破壊音が、聞こえました)

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