ゆめめめーん
□僕と彼女
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ちちち…と、新しい朝を喜ぶ鳥の声が聞こえる。まだ完全に陽が昇ったわけではなく、涼しい風が部屋を通り抜けた。
僕の腕の中でスヤスヤと眠り続ける名無しさんの頭を撫でると、気持ちよさそうに僕にすり寄ってきた。
昨夜のセックスはやけに厭らしかった。1ヶ月ぶりに会った彼女の身体を貪りつくように抱き、僕も彼女も失神寸前まで互いを求め合った。そのまま寝てしまったため汗や精液でベトベトなはずなのに、不思議と名無しさんの肌はすべすべで、微かに石鹸の香りがした。
「…リオン、さん」
「名無しさん。起きたのか」
「おは、よー…ございます」
「あぁ、おはよう」
まだ無理して起きなくていいと言うが、ふるふると緩く首を振って否定した。
変わりに僕の背中に腕を手を回し唇を軽く重ねた。幼児のイタズラのような、軽い口づけ。
少しだけミントの匂いがした。シャワーでも浴びたのかと聞くと、恥ずかしそうに頷いた。
「…匂いとか、気になるし」
「…ふっ。僕は名無しさんの匂いは嫌いじゃない」
「そのままでもよかったんですか?」
「まぁな」
えっち!と、顔を赤くしてそっぽを向く名無しさんに思わず口元を緩めた。
どこがえっちなんだ、この馬鹿。
拗ねてそっぽを向いた名無しさんを無理やりこちらを向かせる。やはり恥ずかしそうにシーツに顔をうずめていた。そんな彼女の額にキスをしたのを合図に、瞼、鼻、頬、唇、首筋、と順に口づけを落としていく。最初はくすぐったそうにもぞもぞと動いていた名無しさんも、胸元まで唇が降りたときは流石に動きが止まった。
「リオンさん!こら、も!だめ!」
「なぜだ」
「なぜだじゃない!」
ぷりぷりと怒る彼女を尻目に、僕は空いている腕で太ももを撫で回し性器の割れ目に指を這わせた。
「…我慢ができなくなるからか?」
「な、ちがいますっ!」
「ほう…ならなぜこんなに僕の指をくわえ込んでいるんだ」
何も身につけていない下半身は、すでに彼女の愛液が垂れてヒクヒクと疼いている。証拠に、僕が入れた二本の指はぐしょぐしょの性器にキュッとしめつけられ、離せない。
「それは、リオンさんが変なキスばっかりするから…っ」
「ほう、僕のせいだと」
「…それに!」
「リオンさんも勃ってる、し!」
彼女の太ももに当てていた性器をチョンと触り、恥ずかしそうにシーツを頭まで被ってリオンさんのえっち!と叫んでいる。
「愛する女の裸体に口づけを落として尚且つ愛液が垂れる性器を触っているのに勃たないヤツははっきり言おう、病気だ」
「そりゃ、そ、だけど…!」
詰まったようにうっと声を漏らす。でも、と再び言い訳を並べそうだったので早々と名無しさんの股を開き性器を押し付けた。
「ちょっと!リオンさん!?前準備、前準備は!?」
「いるのか、こんなにトロトロにしといて」
わざとらしくびちゃびちゃと卑猥な音を立てながら彼女の中の指を弄る。我慢しながらも漏れてしまう声に理性が揺られた。
「あ、ぅひゃあっ、んっ、ああっ」
「なんだ、いくのか」
「いか、ない…もん!ぁっ!リオンさんといっひょぉ…お!」
「…イヤらしいヤツだな」
「そうしたのはリオンさんでしょ…っ」
「まぁ悪くないがな。ほら、足開け」
恥ずかしそうに、けれども素直に従う名無しさんに思わず笑みが零れる。もう余裕がない。彼女にも、僕にも。
「ふ…っあぁ、リオンさん、あっつい…」
「…お前もびっくりするくらい熱いぞ」
じゅぶじゅぶと奥から溢れ出てくる愛液を潤滑油にして、ゆっくりと腰を振り始める。
何せ僕は名無しさんの身体を知り尽くしている。どこを突いたらどんな反応をするか…そんなのはわかりきっているのだ。予想通りに跳ねる彼女の唇に口づけると、急に締め付けがよくなる。限界が近いのだろう、トロンとした双眸で僕を上目に見つめる。
僕は彼女の希望通り、ピストンを速めた。肉同士がぶつかり合う音と、僕のカウパーと彼女の愛液が混ざり合って卑猥な水音が、朝日がさす静かな部屋に響いた。名無しさんの息遣い、火照った顔、艶やかに僕の身体をなぞる指。どれも僕が限界に達する要因となりえた。
「っ、あっ、リオンさん、も!だめ、ぇっふぁ、いっちぁ、あっ」
「僕も限界だ…く、ぁ…」
どぷん。どぷん。と、彼女の中に僕の精液が流れ込んでいく。引き抜く気力もなく、僕は彼女に覆い被さるように倒れ込んだ。名無しさんもまた、抵抗する気力もないのだろう。ゆっくりと腕を回し、耳元で囁いた。
「」
「? なん」
聞き返した僕の台詞は、彼女の唇へと消えていった。
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