ゆめめめーん

□深夜の訪問
1ページ/1ページ

深夜0時。既に屋敷の灯りは全て消え、またリオン・マグナスの部屋も例外では無かった。休日は遅くまで読書にふけっている彼も、明日は客員剣士としての仕事が朝早くから控えている。そのために、今夜は読書を早めに切り上げてベッドに入った。


そんな彼の様子を知ってか知らずか、こんな時間に彼を訪ねるものがいた。
彼女…名無しさんは、ヒューゴから貰った特別な合い鍵で、彼の部屋のドアをそっと開ける。なるべく音を立てないように室内に入ると、背中でカチャリと鍵を閉めた。

大丈夫、父親から承諾済みだから、不法侵入だとかで訴えられても大丈夫。

そんなことを思いながら、ベッドで寝ている彼の顔を見やる。暗くてよく見えないが、気の強そうな顔つきで一般人の寝顔とは違う。ちょっとの物音ですぐに起きてしまいそうな警戒心の強そうな寝顔だった。

…いやしかしイケメンだなこの人。

微かな月明かりで見える顔の造形は、恐ろしく整っていた。鼻はすっと伸び睫毛は長い。切れ長の目は、開けたらもっと魅力的だろうと感じた。
そこまで考えて、はっと我に帰る。
しまった、仕事しなきゃ仕事。

いそいそと準備に取りかかった彼女の手には手枷。そしてベッドに横たわる彼は、なぜか全裸であった。


慣れた手つきで彼の腕をあげて手枷をはめる。これで抵抗は出来ないはず。足は…まあ抵抗させないように頑張ろう。




ふと、僕は目を覚ました。ガサガサと物音のなる方へ目をやる。暗くてよく見えないが、目を凝らすと自分の部屋に知らない女。楽しそうに自分の持ち物を漁っているようだった。全く状況が分からないがとりあえず、この女は僕に良い影響をもたらさないことだけは分かった。
反射的にシャルに手を伸ばし、いつものように喉元に剣先を突きつけ…ようとした。


「!…どういうことだこれは!」
「あ、起きた?おはよー」
「貴様、誰だ!?僕をこんな格好にしたのもお前か!?たたっ切ってやる、こいつをとれ!」
「夜中に騒がないの、うるさいでしょ。あと基本的に質問は一回につき一個ね」
「黙れ!僕が誰だか知ってのぶれ…」


この先の言葉は続かなかった。なぜなら女が僕の唇を塞いだから。僕とは違う柔らかい口唇は、恐ろしく僕のそれと密着していた。突如ぬるりと入ってきた物が、女の舌と分かるまでそう時間はかからなかった。歯列をなぞりいやらしく僕の唾液を絡み取る舌使いは、相当手慣れていることを意していた。
しばらくなすがままにされていたが、ふと我に帰り自分の状況を思い出す。第三者から見た自分の姿が脳裏に浮かび、すぐさま逃れたいと、未だに僕の口内にある女の舌を思いっきり噛んだ。


「いらいー」


気の抜けた声を発しながらも僕から女が離れた。鉄の匂いがのこる唾液を吐き出すと、暗闇に慣れた目で改めて女を見る。


「…貴様何者だ」
「今日から君専用で働くことになったものです」
「…夜這いか」
「仕事だから」
「生憎必要ない」
「仕事なんだからしょうがないじゃん」


もう黙ってて、と一言言い残して、ベッドの下の方へと下がった。いい加減にしろと怒鳴りたかったが、それは再び叶わなかった。



なぜなら、女が僕の息子をくわえていたからだ…!


「おいっ、やめろ…!」
「君初めてなんでしょ?なら尚更任せた方がいいと思うよ」
「貴様…!っあ、くっ…」
「体は素直じゃん」


先ほどのキスで熱が集まりつつあった自身も、舐られ吸われることにより完全に欲望を主張してしまっていた。全てをさらけ出しているこの格好で、この自身はあまりにも恥ずかしく、あまりにも情けなかった。
他人に自分のものを触れるのは、こんなに気持ちいいものだとは知らなかった。裏筋を舐められる度にゾクゾクと快感が走り、吸われる度に腰が疼く。口に含まれている間も速度を変えながら扱かれ、もちろん初めての体験である僕には我慢のしようがなかった。


「…っくぁ、出る、出る…!」
「そのままだひてどーろ」


どぷっ、どぷっ。と、自身が脈うちながら数秒間射精しているのがわかった。瞬間頭が冴えるが、今更どうにも動けない。所謂賢者タイムというやつだ。



ごくん、と女が精子を飲み込む音が聞こえた。しかし今更怒鳴り散らす気などない。


「今日はこんなもんでいっか」


女は満足そうに立ち上がると、僕の手枷を外し器用に服を着せた。射精後の脱力感から拒否する気力もなかった。

やがて立ち上がると道具を持って部屋を出て行こうとした。「…おい、」とやっと絞り出した声で呼び止める。


「何?」
「お前、名前は」
「名無しさん」
「名無しさん…」
「まあ覚えなくてもいいけど。じゃあねイケメン君、また明日」


そう言うと、パタンとドアを閉じて出て行った。
なんだったんだあれは…。というかどうやって部屋に入ったんだ?父上か、父上が仕向けたのか?考えなければいけないことが山ほどあったが、既に睡魔はそこにきており僕の思考はフェードアウトした。…明日、か。少しだけ楽しみになってしまった僕だった。



―――
続きません

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ