本nrt
□貴女と俺の間には
1ページ/1ページ
身長、俺の方が低い。
階級、俺と同じ。
任務ランク、俺の方が高い。
年齢、俺の方が低い。
…これが、貴女との差。
-貴女の俺の間には-
「カカシ、おはよーっ!」
「…おはようございます」
彼女はやどり。
俺と同じ上忍。
ただ、俺が上忍になる何年も前から上忍をやっている。
つまり、先輩。
先輩なんだけど、ハッキリ言って幼くて、任務だって俺の方が高ランクが回ってくる。
そして、
「もー…カカシ、最近冷たくなったよね。小さい頃はあんなにかわいかったのにぃ!」
…俺の、幼なじみ。
「そんなことないですよ、やどりさん」
「あー!また雲月さんって!呼び捨てだったカカシはどこに行っちゃったのぉ?」
「いやいや…先輩ですから」
やどりさんは、俺のことを仲のいい姉弟くらいにしか考えていない。
ま、それはそれで嬉しいんだけどね、辛いものがあるでしょ、やっぱり。
それに俺は、やどりって呼んでた頃から、ずっと好きだったし。
…本人は気づいていないみたいだけど。
はぁー…、近すぎる距離っていうのも、案外考えものかもね。
ある日、待機所でのこと。
俺が先輩たちに絡まれている時に、やどりさんが入ってきた。
「おはよー…あれ?どしたのカカシ。大人気だね?」
「…(どこがだよ)」
若くして上忍になった俺を、快く思ってない人は多い。
今日も俺をからかってくる先輩。
背が低いとか、まだ子供だろ?とか。
下品なことだって言ってくるし。
…ガキ。
ま、俺はそんなこと、気にしないんだけど。
でもその中には、やどりさんに好意を持っているヤツもいて。
「カカシ、今日ヒマ?」
「?ヒマですけど…」
「じゃあさ、私の家で一緒にご飯食べよう!」
「やどりさ…」
「おいおいやどり、そんなヤツ誘うくらいなら俺と一緒に飯行こうぜ!」
ほら。
ジャマなんだよね、ハッキリ言って。
俺からやどりさんを隠すようにして、俺の前に立つソイツ。
…殺されたいの?
「なぁいいだろ?」
「えっ…でも、私はカカシと…」
「いいじゃんいいじゃん、こんなガキ。背も低いし、絶対俺の方がイイオトコだし!」
…背が低いって、言わないで頂戴。
いつか超すから、俺。
それに悪いけど、俺の方がカッコいいから。
黙っているだけで何も言い返さない俺に気をよくしたみたいで、やどりさんを誘う。
…俺、なめられてるね。
俺だって、黙ってるだけじゃないから。
「な、俺と行こうぜ、やどり?」
「…ちょっと」
「な、なんだよ…」
「…カカシ…」
俺はやどりさんの前に立って、その男の方を向いた。
「やめてください、迷惑がってます」
「ちょ、カカシ…」
「はぁ?…なんだお前、嫉妬?やどりのこと好きなのか?」
「ええ。…好きです」
おもしろがって聞いてきたソイツに、俺は好きです、と答えてやった。
「おいおいおい…どうせ憧れだろ」
「か、カカシ、それは…私がお姉ちゃんみたいな存在だからだよね?」
…まったく。
コイツだけならともかく、やどりさんまで検討違いなことを…。
ま、しょうがないよね。
好きです、なんて言葉、小さい時もめったに言わなかったんだし。
俺はやどりさんの方に向きあった。
「…やどりさんがそう思っていても、俺は好きですよ」
「!!!」
「今も、ずっと前からも…」
「んっ…!」
「…ずっとこうしたいって、思ってましたから」
「か、カカシ…」
「…好きだよ、やどり」
「!!!!」
キスをした後、真っ赤になってしまったやどりさん。
周りも驚いて固まってしまっていた。
俺がこういうことするって、思ってなかったみたいだから。
でも、たまにはいいでしょ。
変な虫もよりつかなくなるだろうし。
今はまだ、貴女に追いつけないでいるけれど…、いつか必ず、追いついてみせるよ。
身長だってこれから高くなるし。
仕事のできる忍にもなって…、誰よりもイイオトコにだって。
…年齢はもうどうしようもないけどさ。
それでも貴女を一生守り切れるくらい、強くなってみせるよ。
-貴女と俺の間には-