大きな栗の木の下で

□雨降って地固まる
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スネイプが私を捜している、という情報がいろんな人から私の耳に届いた。

どうして今さら?と思いつつ、私もスネイプを捜してみることにした。

友人には止められたが、なんとなくこのままではいけない気がする。


だけどスネイプはどこにもいなくて、私はダメ元で湖近くの木の下へ行ってみることにした。

うっすらと雪が積もった中庭を横切り、凍った湖へ向かう。


数ヶ月前までスネイプと一緒に本を読むことが日課となっていた栗の木も、すっかり葉を落として雪を被っていて、時の流れを感じて物悲しくなった。



『なつかしいな――っきゃあ!』



感傷に浸っていた私は、突然視界が反転するのを感じだ。

一瞬の浮遊感の後、全身に痛みが走る。

落とし穴に落ちた、と気づいたのは頭上に丸く切り取られた空を見つけてからだった。



『……最悪』



こんなことをする人物は眼鏡と愉快な仲間達以外に考えられない。

おそらくスネイプを嵌めるように作ったのだろう。

大きくて深い穴は、とうてい私がよじ登れるようなものではなかった。



『明日帰れなかったらブラック家に抗議してやるんだから』



あなた達の馬鹿息子のせいで婚約がパーになりましたといえば、代わりの相手を見つけてくれるかもしれない。

あ、でも責任を取ってシリウスを……とか言われたら嫌なのでやめておこう。



『まあいいや。もともと乗り気しない婚約だったし』



暖をとるために杖を取り出して呪文を唱えた。

薄暗い穴の中に、オレンジ色の炎が浮かぶ。

さてどうやって助けを呼ぼうかと考えていると、どこからか名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。



『スネイプ?』



まさかね。

大広間から駆け出してきたときとは状況が違う。

私はセブルスとリリーの関係を知ってからずっとここに来ていないから、スネイプが私を捜しにここに来るとは考えにくい。

でも、丸い空に顔を出した黒い影は、紛れもなくスネイプのものだった。
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