stand by me
□三角関係
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クリスマスの前日、レナとリーマスはウィーズリー家に招待された。
大家族が住んでいるにしては小さめの家は、ジニーによって飾りつけられ、W.W.W.に負けず劣らずの賑やかさになっていた。
大きなクリスマスツリーのてっぺんでは、飾られている天使が生き物のように暴れている。
何か叫んでいるようにも見えたが、ラジオから流れてくる歌と、フラーの大きな話し声にかき消されて、何を言っているのかまではわからない。
レナは天使の声を拾うことを諦め、暖炉の炎をじっと見つめているリーマスを眺めることにした。
(何かあったのかな)
このところ――といっても、数ヶ月ぶりに戻ってきてからの3日間だが――リーマスの様子がおかしい。
話しかけても気づかなかったり、ぼーっとしていたり、今のように考え込むように手を組んでいる姿をよく見かける。
自意識過剰でなければ、レナを注視していることも少なくない。
そのわりにはあまり目を合わせようとしないし、会話も以前と比べると弾まなくなった気がする。
「メリークリスマス」
「大丈夫?」
珍しくつながりのないセリフを言いながら、フレッドとジョージがレナの両脇に座った。
2人は「ごめん」と口をそろえた。
『何が?』
「ルーピンだよ」
「何も言われてない?」
ひそひそ声で言い、顎でリーマスを示した。
「店のことで俺たちめちゃくちゃ怒られたんだ」
「ポスターもはがされた」
「そりゃだまってやった俺らも悪いと思うけど」
「でもあれは営業妨害だ」
(怒っているからあの態度……?)
リーマスは顔を暖炉に向けたまま、目だけがしっかりとこちらを向いていた。
膝の上で組んだ手の人差し指だけが動いている。
音楽に合わせてリズムを取っている――わけではないだろう。
レナは両隣を軽く睨みながら声をひそめた。
『全然大丈夫じゃなかったんじゃん』
「ルーピンだって鬼じゃない」
「話せばわかってくれる」
『そうかもね――って、私が!?』
「レナならいける」
『無茶言わないで』
「僕らに借りがあることを忘れちゃいけない」
『それもうチャラになったでしょ!?』
「そう言わず」
「頼んだ」
フレッドとジョージがレナの肩を叩き、そのままリーマスのほうに押した。
横目で様子を窺っていたリーマスが顔を上げて苦笑いした。
「2人とも、あまりレナをいじめないでくれるかな」
「誤解だ」
「いじめてない」
「まあ、レナで遊びたくなる気持ちもわかるけどね」
『ちょっとリーマス!そこは保護者としてビシッと注意して!』
「そうだね。フレッドとジョージには気をつけるんだ、レナ」
『私!?』
焦っていたのはレナだけだったようで、3人は「ははは」と愉快そうに笑った。
レナが文句を言おうとしたところで、ラジオのボリュームがあがり、わななくような歌声が響き渡った。
フレッドがモリーに謝り、ジョージが「お気に入りの歌手なんだ」とレナに耳打ちした。
2人は最後にもう1度レナをぐいっとリーマスのほうに押し出し、ジニーを誘って爆発スナップのゲームを始めた。