比翼の風見鶏

□ふくろう便と3つの写真
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(ふふ、みんなすごく楽しそう)


ピラミッドの前に立つ9人のうち、7人をヒナノは知っていた。

男の子ばかりの兄弟の中に1人だけいる女の子がジニーで、そばかすだらけのノッポが1つ上の学年のロン。

それから同じ顔の2人が双子のフレッドとジョージで、メガネをかけているのが監督生のパーシー。

みんなヒナノと同じグリフィンドール生だ。

それからみんなには内緒だが、ウィーズリー夫妻のこともヒナノは見たことがあった。


(どっちがビルだろう?)


残りの2人を見比べ、こっちかなと見当をつけてから、手紙に戻る。

ジニーはエジプトのことを日記のようにたくさん書いていた。



――ビルがいろんな墓地を案内してくれたんだけど、ママってばあたしにあんまり見せたがらなくて……

最後の墓なんて中に入れてもらえなかったの!

たぶん、またあたしが変な呪いにかかると思ってるのね。

おかげで外で待たなきゃいけなくて、あやうくミイラの仲間入りになるところだったわ。


日本もすごく暑いんでしょ?

やっぱりエジプトみたいに砂ばっかりなの?

よかったら日本にいるヒナノの写真も送って――



1枚目はそこで終わっていた。

写真なんて言われても困るなと思った。

ヒナノが住んでいるのは観光地でもなんでもないごく普通の町で、ピラミッドのようにここが日本だと一目でわかるようなものは何もない。

風鈴や蚊取り線香の写真を送ったところで、ジニーには伝わらないだろう。


頭を悩ませながら2枚目に進むと、エジプトのことと同じくらいたくさんハリーのことが書かれていた。

ロンが電話で大失敗したという話にはちょっと笑ってしまった。

そして3枚目は新学期の準備についてだった。



――ところでヒナノはいつごろ戻ってくる予定?

あたしたちは8月の最後の週にイギリスに帰って新学期の準備をするつもり。

漏れ鍋かどこかで会えたらいいんだけど……。


ロンはハリーとハーマイオニーを誘ったみたい。

ハリーは来れるのかな?

ロンの電話のせいで来れなくなってたら、あたしビルに教えてもらったばかりのエジプトの呪いをロンにかけてやるわ。

もちろんちょっとしたやつよ。

すごく面白いから、今度ヒナノにも教えてあげるね。

じゃあまたイギリスで!


追伸 パーシーは首席になったわ。(尊敬するって持ち上げて、この子を貸してもらったの。エロールじゃ日本に着く前に死んじゃいそうでしょ?)

ジニー――



『8月最後の週!』



ヒナノは叫び、カレンダーを見た。

イギリスに戻る日であることを示す丸印は29日の土曜日に付けられている。

その次の行に並ぶのは、赤い30と黒い31の2つだけだ。

ジニーが言っている最後の週がこの2日のことを指すなら、タイミングはぴったりだ。



『お父さん!イギリスの宿ってもう決まった?まだなら私、漏れ鍋がいい』

「決まってるけど……まあ、いいか」



娘に甘すぎる父親は二つ返事でOKし、写真がないなら撮ればいいじゃないかと浴衣を取り出してきた。




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