大きな栗の木の下で

□雨降って地固まる
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スネイプは私のマフラーをほどき、あらわになった私の首筋へ顔を埋めた。



「――嫌がらないのか?僕は今、君の人生を台無しにしようとしているんだぞ」



スネイプが何をしようとしているのかがわかる。

キスマークをつけた女を、良家のご子息がよしとするはずがない。

その前に、両親が見たら勘当されそうだ。


それでもいい。

私は首を横に振って、スネイプに――セブルスに、腕をまわした。



『ごめん。あの子の言うとおり、遊びのつもりでスネイプを選んだの』



ピクッとセブルスが反応した。



『でもね、一緒にいて、楽しかった。どんどんスネイプに惹かれていって、いつの間にか本気で好きになっていて……そのことに気づいてから、今度は急に不安になって――』



セブルスはなかなか目を合わせてくれないし、おしゃべりすることも少なかったし、手を握ってくれることはあってもそれ以上を求めてくることはなかった。

まわりの子はデートしたりキスしたりが普通なのに、私達は一緒に座って本を読むだけ。



『あまり私に興味がないのかなって』

「違う。歯止めが利かなくなるのが怖かったんだ」



セブルスは首から顔を離し、痛いほどに抱きしめて、額に口付けた。

それから眉、瞼、目尻……と少しずつ位置を変えてキスの雨を降らせてくる。



「君の笑顔を目の前にすると、すべてを僕のものにしたくて仕方なくなって……でも、嫌われたらって考えたら何もできなくて……本当は、ずっとこうしたいと思ってた」



徐々に降りてきたセブルスの唇が、私の唇に重なる。

熱い吐息が混ざり合い、真冬だというのに2人とも顔が紅潮していた。



「マロン、好きだ。愛してる。僕は君を失いたくない」

『うん。うん……私も、もっと、セブルスと一緒にいたい』



泣きそうになるのを必死に我慢して伝えた。

それなのに、セブルスが「泣くな」って優しい笑顔を向けたりなんかするから、私は涙があふれて止まらなくなった。




雨降って地固まる

固まったのは、私の気持ち





冬来たりなば春遠からじ
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