裏story

□(シヘ)裏の方程式A
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「数学は意外と得意なんだな・・・じゃぁ次はこれか」
「おぉ!俺数学得意なんだー!」


自分の得意に気付いたドンヘのテンションは高まる。
先程の様子からは想像もつかないほどにやる気を出しペンを握って言った。


「なぁ、シウォン!もしこの計算問題で全問正解したらなんか奢ってよ!」


まるで犬が散歩を待っているかのように期待で満ちた表情を浮かべて言った。
すると意外にもシウォンはその要求を呑み再び口を開いた。



「あぁ、約束するよ。その代わりもし一問でも間違えたら俺の言うことをなんでも聞けよ」
「なんでも・・・分かった!約束する!」

「よし!じゃぁここな。制限時間15分、よーい始め」


ドンヘはペンを取り教科書とノートを交互に見ながら問題を解いていく。
問題が難しくなっているのか時々眉を顰め手を止めるが、前回よりは順調に進んでいた。
明らかに集中力が高まっていうのが分かる。


そして最後の一問を解き終わった後、ドンヘは燃え尽きたように机に伏せた。




「おわったぁーー!!」
「ん、ごくろう様。・・・さてどうなっているかな」



シウォンは掛けていたメガネを中指で軽く上げ、筆箱から赤ペンを取り出した。
その顔には少しの期待が現れるように緩い笑みが浮かんでいた。


一方ドンヘは「怖いぃー・・・」と呟きながら両手で顔を隠し
ちらちらと指の間からシウォンの採点の様子を覗っている。



そして一つ息を吐いた後、シウォンが言った。



「残念、2問不正解でしたー」
「!?」



ドンヘがショックを隠しきれない様子で項垂れる。
そんなドンヘに向かってシウォンが言った。



「じゃぁ、ドンヘ。約束を守ってもらおうか」
「・・・んだよ約束ってぇ」
「これ」



ドンヘの目の前に一枚の紙を差し出す。
その紙には数十問の計算問題が丁寧に並べられていた。



「これを解くの?」
「あぁ、簡単だろ?」


ドンヘの曇っていた表情がしだいに明るくなる。
シウォンの手からその紙を奪い取って早速取りかかろうとした時、シウォンに腕を掴まれた。


「なんだよ!」
「いや、これは一問20秒っていうルールでやっていく。一問一問で止めていくからな」
「あー・・・そういうね。分かった」


「その代わり、その問題を間違えたら罰ゲームがある」
「罰げーむ!?でもいいじゃん!楽しそう!で、その罰ゲームってのは?」



シウォンの口角がにっと上がる。



「ペンを刺していくから」



ドンヘの目が見開く。
しかしその数秒後、ドンヘは盛大に吹き出し笑い始めた。
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