裏story

□(キヘ)恋祭典
1ページ/7ページ

一学期も終わり、夏を本格的に迎える頃ドンヘとキボムの通っている学校にも
夏休みという学生のビックイベントが訪れた。



ピンポーン



キボムがパソコンに向かいブログの更新をしていると
妙に甲高いチャイム独特の音が響いた。
だるそうな表情を浮かべ、一階に下りモニターを確認すると
そこには満面の笑みを浮かべたドンヘが立っていた。



「暇だから遊びに来た!」



その一言を聞くとキボムはドンヘに気付かれない様に小さく笑い
ドアを開けた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キボムの部屋に入ったドンヘはまるで自分の部屋にいるかのように
クーラーを占領し寛いだ。


「あっつかったー・・・俺溶けそう!」
「ドンヘー、麦茶でいい・・・よ、ね」


ドンヘは少しでも身体を冷まそうとシャツをめくりあげ
上下にパタパタと仰ぎ始めた。
日焼けで少し焼けた肌がちょうど麦茶を持ってきたキボムの目に留まる。
少しの間キボムは言葉を失ったが、すぐに何事もなかったようにテーブルに麦茶を置いた。



「ドンヘ、麦茶持ってきたよ」
「ん、ありがとう」



相当喉が渇いていたのかコップ一杯に注がれた麦茶を
ドンヘは一気に飲みほした。
その時、勢いが良すぎて口の端から零れた麦茶が顎を伝って首に流れ落ちた。
濡れた首筋が妖艶さを増す。

数秒後ドンヘの「つめたっ!」と言う声が聞こえた。



キボムは思った。夏は危険だと。









「で、今日はどうしたの?」
「んー?だから言ったじゃん、暇だから来たって」
「嘘つけよ(笑)お前いろんな奴から遊びに誘われてんだろ」
「なんで知ってんだよ!・・・でもまぁ、いいだろ?俺はキボムの家がいいの」



俺の「家」かよ、とキボムは心の中で呟いた。
しかし、このドンヘの言葉はキボムにとって本当に嬉しい言葉だった。
夏休み前にはドンヘといる度に同級生・先輩・後輩といろんな人がドンヘを
誘いに来た。そんなドンヘを見てキボムはいつもそっとその場を離れていたが
自分の知らない所でその誘いを断ってることも知っていた。
気付けば、キボムの中でドンヘは普通の友達よりも大切な存在になっていた。

しかしこの感情は本人には決して気付かれてはいけない思っていた。
気付かれたらこのままの関係は続けていけない、そう思っているからだ。




「俺の家の何がいいんだか」
「とにかくキボムの家がいいの!出てけっつっても出ていかねぇからな」
「さすがの俺も追い出しはしないさ」



キボムが小さく笑った後、携帯の着信音が鳴った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ