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□金玉魚の呪い(壱)
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「さて。久しぶりに作ろうかな…」


朝日が入り込むのをまるで拒んでいるような
暗い部屋で呟く。

私は 畑 リリ。
普通…とは言えない中学二年生の女の子。
世間では私みたいな人を【二重人格者】という。
物心ついたころからこうしてる。
世の中はこうしていたほうが、生きやすい。
本当の自分を隠してる。
見事なほどに正反対の私ともう1人の私。

そんな自分がスゴイと思ったのか
直そうと思わない。

私はすり鉢を手に、机の上に置いてある水槽に目をやる。
静かに近付いていく。

コポコポコポコポ───……

酸素モーターの音が耳に障る。

「…五月蝿い。」

ガシャン…!!!!

私はそれを投げた。
音をたてて壊れた。

「壊れる音は…イイネ…??」

歌うように呟いた。
それと同時に左手を水槽の中に突っ込む。
微笑みを浮かべて金魚をつかんだ。
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