短編

□雲雀といっしょ
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*雲雀といっしょ

私の通う学校では月に三回ぐらいのペースで風紀委員による服装検査がある。おかしいよね。普通は年に三回ぐらいじゃないのかな、普通は。もしかしてそんなにも風紀委員は服装検査が好きなのかな。いや、ないか。流石にないよね。うん。

「ちょっと君、それ違反だよ」

「あ、おはうおございまーっす。今日も頑張って下さい。それじゃー」

「待ちなよ」

「うぎゃっ」

挨拶わ元気にしたら見逃してくれるかと思ったら駄目だったよ。ちきしょー。浅はかな考えだったね、私。いけると思ったのにな。

「学校にジャージで来るとは良い度胸だね。学年とクラス、出席番号を言いなよ」

「いや、ひばっさん。これただのジャージじゃないっス。並中のジャージっス」

「ワオ、ムカつくから咬み殺して良いかい。しかも何、ひばっさんって。殺されたいのかい」

「えー、良いニックネームだと思ったのにー。そりゃないよひばっさん」

本当、昨日からひばっさんのご機嫌取りに考えたニックネームだったのにさ。まさかのムカつくってさ、酷いよね。

「そもそもどうして制服じゃないの」

「あ、気になりますか。聞きたいですか。それはですねー……」


『あ、そういや母さん居なかったなー。洗濯物ってどうやって色分けするんだっけ。白と黒?え、緑は。緑はどうするの。赤も青も単品で洗濯するのかな。あー解んない。そうだ、明日体育あったからジャージで行けば良いじゃん。でも服装検査があったな……よし、雲雀さんのご機嫌取りにニックネーム考えようっと』


「………という複雑な問題に衝突したんですよ」

「うん、帰って良いよ」

「そりゃないよ!」

なんてこった。私はちゃんと正直に話したのに。確かに洗濯物面倒だと思いました。でもさ、色分けしたけど水の出し方解んなかったんだもん。しゃーないよ。水汲んでやろうと思いました。でも無理でした。大変だし面倒だったから。そんな私の気持ちをひばっさんはちっとも解ってくれないんだね……所詮私達の関係はそんなもんだったんだ。悲しいね。

「くっそーこうなったら何がなんでも突破してやんよ」

「もう良いよ、通れば」

「え、ひばっさん……」

「但し、次はないよ」

「あざぁぁーっす!」

やったね。ひばっさんって以外と優しいとこあるんだね。今度から廊下ですれ違ったら挨拶してあげようかな。でも返事してくれなかったら虚しいよね。うーん、困りますなー。






(うーん、どうしよう)

(ねえ、そこ邪魔だからさっさと行ってくれる)






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