短編

□ファミレス
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友人とファミレス行って自分が食べたい物を頼むけど結局は友人が食べてる物が食べたくなるよね。

目の前に居るのは真選組の中でも剣術の腕がトップである沖田総悟。あたしと沖田は、偶然にも仕事が二人とも休みだった。なので、ファミレスで昼ご飯を食べる事にした。
来て早々、何を頼もうかなと思いながらメニューを取ると、どうやら沖田の分のメニューが無かったらしい。沖田は、あぁー………と戸惑うもののあたしの隣にいそいそと移動してきた。うん、解るよ。反対側って見にくいもんね。でも仮にもあたしより上司ならこんな子どもっぽい事をするんじゃなくて待つって事を覚えたら良いのに。あーあ。

「チョコバナナパフェにしようかな」

「何言ってんですかィこの小娘は。昼飯の為にファミレス寄ったのにまさかのパフェ?良い度胸してんじゃないですかィ」

ジャキッとどこから取り出したのか、愛用のバズーカを構える沖田。うわぁー隣に居るから0距離なんだけど。本当、やめてほしいよね。今あたし達が居るところ場所考えてみて、小さな子どもからお年寄りまで愛用しているファミレスだよ。しかもお昼。人が多いんだよ。TPOって解るのかな。…………まぁいいや。周りの目が痛いからいい加減に下ろしてもらわないと。

「はいはい、じゃあ後で決めるから沖田が決めれば」

「沖田さん」

「いくら上司だからって同い年にさん付けしたくない。付けてほしいのなら上司らしい事すれば良いじゃん」

「………チッ」

あ、舌打ちした。むかつく。左肩上を見れば、あからさまに嫌な顔をしている沖田の姿。そうだ、沖田がトイレとか行ってる間にご飯の中にタバスコ入れておこう。問題は沖田がトイレに行くか、その時に注文した物が届いているかだけど。後はタイミングとかが大事かな。
沖田はメニューと睨めっこだし。メニューは後で見て決めようかな。ファミレスは大体同じ様なメニューがあるし、大まかな物だけでも決めておこう。とりあえずパフェはデザートにしようかな。食べれたらだけど。うーん、何食べようかな。いつもなら真っ先にドリアとかグラタンを頼むけど今はそんな気分じゃないし。かと言ってお店の看板メニューであるハンバーグも気分じゃない。参ったな。何があるっけ。駄目だ、完全にド忘れしてしまった。あー……ドリンクバー、かな。ご飯じゃないけど。

「沖田遅い」

「俺はゆっくり時間を掛けて決めるんでェ」

「だったらあたしにメニュー渡して。三分で決めるから」

「ふざけんなよーこちとら朝から何にも食べてねぇんでィ。それなのに目の前で飯食べてるのを指くわえて見てろってかィ。嫌だねー、これだから女ってのは」

「あっそ、じゃあゆっくりと長い時間かけて決めれば良いんじゃないですか。あ、すみません。チョコバナナパフェとドリンクバー一つお願いします」

頼み終わると、可愛らしいウエイターさんは眩しいぐらいの笑顔でドリンクバーの説明をしてくれた。あざっす。沖田はよっぽど驚いていたのか、あたしの行動をただ唖然と見ているだけだった。ははっうける。あ、ウエイターさんも沖田に対してメニューはお決まりですかって聞いてたけど沖田は全然決まっていなかったみたいで後にするとか言ってた。長い時間かけて決めるからね。
あたしは、睨んでくる沖田を見下す様に嘲笑うとドリンクバーへと向かった。小さい子(精神的に幼い子も含む)ってよくジュース混ぜたりするよねー。オレンジとメロンソーダとか。一番駄目なのは烏龍茶とジュースを混ぜるのだと思うね。だってお茶とジュースだよ。つまりは梅昆布茶にオレンジって事だよ。ないわー。ま、あたしはそんなことしないけどね。普通に炭酸のジュースを入れて席に戻ると、沖田はまだ考えていた。え、遅すぎじゃない。

「あー………」

「………」

「んー………」

「………、」

「あ、すいやせん。オムライスのこのセット下さい」

オムライス……あったんだ。ちくしょう、それにすれば良かった。今度来たときは忘れずに覚えておこっと。デミグラスじゃなかったら頼まないけど。

「あっれぇー、二人してデートですかコノヤロー。え、何今流行ってるリア充ってやつ?いやーおいさんこれ爆発しろって言えば良いのかなー」

なーんかやってきた。銀髪頭の土方さん同様に目が死んでる男だ。お金ないって言ってるのに何でここにいるんだろう。パフェ片手に持って。

「デートじゃないですよ。てゆうか銀さん、パフェ持ってどうしたんですか」

「いやぁーなんか聞き慣れた声がチョコバナナパフェ頼んでたのが聞こえてきたら一口貰おうかなーと」

「ははっふざけないで下さいよ。あたしのチョコバナナパフェですよ。てめーは見ているだけにしろっての」

「怖っ!」

本当勘弁してほしい。こちとら汗水流して働いた金で食べてるんだ。それを簡単によこせだ?はっふざけんなよ。

「第一ね、銀さん。大の大人があたしみたいな子どもに向かって何貰おうとしてんですか。あたしだって働いているんです。朝昼晩、毎日毎日仕事したりゴリラの世話とかしながら。一週間のうちに休みがあるのは本当に珍しいんですよ。ゴリラの世話とかで忙しいから。解りますか?」

「あ、あー……!そうだね。いやぁゴメンねーなんかおいさんどうかしてたわ。じゃ、じゃーねー!」

「はいさようなら」

なんだかばつが悪くなった銀さんはどっか行ってしまった。それと同時にあたしが頼んだチョコバナナパフェが来た。ちなみに沖田が頼んだのも。えーつまんない。パフェ食べながらドヤァって顔したかったのに。あーあー、もっと早く頼んでおけば良かったな。

「……おい、」

「何よ、沖田」

「一口くれやぁ」

「……………ん」

本当に、本当に一口だけスプーンに乗せると沖田の元にやった。あげたくなんかないけどどうせ後からネチネチ言われるのだ、一口ぐらいなら良いだろう。わーあたしなんて大人なんだろー。そんなことを思っていると、沖田はあたしの手首を掴んでスプーンを自分の方へと持っていった。スプーンを取れば良いのに。一口食べ終わり、スプーンを引くと、今度は沖田の方からオムライスが乗ったスプーンが来た。良いのかなーって少し思いながらもスプーンを手にとって食べた。ん、とオムライスをモゴモゴ食べながらスプーンを返すと、もの凄い残念そうな顔をした沖田が居た。ど、どうしたの。

「普通はよー」

「何よ」

「あのシチュエーションだったらアーンってことぐらい解るだろィ」

「いや、あたしアーンされるの嫌いだし。あ、オムライスありがとう。美味しかったよ」

「…………そうかィ」

頭をぐしゃぐしゃって掻いてる沖田。なんだなんだ、そんなに悲しかったのかな。あ、でも耳赤いし。えーどういう事なの。まぁいいや。あたしはとりあえず沖田がさっき食べたスプーンでパフェを食べた。美味しいな。






(次はお団子だー)

(さっきパフェ食べただろィ…)






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