前世の記憶(TOA)

□第二章〜記憶のない人形士〜
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ジ「では情報をいただきましょうか。ちょうどここは人の少ない場所の訳ですし」

ア「大佐なら情報の価値わかってますよねぇ?」

ジ「ええ、もちろん。ですからそれなりの対価は払いますよ。」

ル「ジ、ジェイド…俺達が渡せるの戦利品くらいじゃ…」

ジ「何も対価は物で、というわけではありませんよ」

ル「え?」

ア「今の大佐に情報交換なんてできるんですかぁ?」

首を傾げるルークだが、アニスは察したように見下して言葉を言えば、ジェイドの瞳が一瞬冷たくなるも、すぐ胡散臭い笑みを浮かべては口を開く。

ジ「生意気になったものですね、アニス。確かに情報交換と言えば一つくらいしか言える事はありません。ですが、こちらには記憶がありますので、脅迫というものをさせていただきます。」

ス「な…っお姉ちゃん!こんなの…」

ア「スニアは黙ってて。大佐、一つの情報はともかく、脅迫って何ですか?アニスちゃんわかんないです☆」

ジ「人形士の秘密ですよ。どうせこの時代でも、教団の機密事項なのでしょう。ディストのできた発明を私にできないはずはないと、わからないはずは…ないですよねぇ?」

ア「…やっぱり、大佐手強過ぎですよぅ」

ジ「当たり前です。ですが、アニスもさらに賢くなりましたね。ルークは相変わらずですよ」

ル「な、なんだよ!悪いのかよっ!」

ジ「いーえ?私は今のルークが好きですから」

ル「な…っ」

ア「ルーク様ってばお顔真っ赤〜!」

ル「う、うるせぇ!」

ス「何で…!お姉ちゃん!」

賑やかに話していればいきなりアニスに言われ、黙っていたスニアが叫ぶ。三人はスニアをすぐに見た。

ス「何で負けを認めるわけ?そんなの、おかしいよ…っ人形士の秘密を知ってる確証も何も…!」

ジ「やれやれ、記憶を持たないアニスは前世のアニスでも見ている気分ですねぇ」

ア「スニアは私とは…」

ジ「わかっていますよ、別人だと。レプリカでないことにほっとしています。後でレプリカについても話して下さい。」

ア「はい」

ジ「スニア」

ス「近寄らないで!お姉ちゃんもそいつらから離れてよ!敵かもしれないじゃん!」

ア「確かに大佐は怪しいけど、違うよ。ルークも色々あったけど、仲間だもん」

ル「アニス…」

ス「違う!違う!お姉ちゃんは騙されてる!私が…私が守らなきゃ…っ」

スニアが人形を大きくしてジェイドに向かって人形で殴りかかるが、ジェイドは避けるような素振りはしない。変わりにアニスが人形をでかくしてそのパンチを受けとめる。

ジ「おや、守ってくれるんですか?」

ア「大佐ってば、スニアを説得する気ないですよねー?」

ジ「ははは。バレましたか。」

ル「ジェイド、ふざけてないでしっかりやれよ」

ジ「ルークに言われては仕方ないですね。力ずくで行きますか。」

ア「大佐、力ずくって…」

ジ「私達の邪魔となるようなら殺す…軍の基本です。まぁ今は違いますがね。」

ア「そんな…!スニアは…!」

ス「なんで…なんで邪魔するのー!アリエッタは守りたいだけなのにぃ!」

ア「スニア…?」

ル「あ、アリエッタって確か…」

ジ「まさか姿はアニスと一緒でありながら、猛獣使いの生まれ変わりというわけですか」

ア「大佐…何言ってるんですか?アリエッタって誰?スニアはスニアですよね?」

ジ「アニス、まさか…」

ル「アニスって前世の記憶持ってんだよな?なら、わからないわけ…」

ス「アリエッタが守るんだもん!イオン様も、お姉ちゃん…アニスも!」

ア「す、スニア!」

スニアがアニスを人形で殴りかかれば、アニスは避ける。スニアはそれを待っていたかのようにその人形の拳をジェイドにぶつけようとして止めようとはしない。

ジ「目を覚ましなさい!アニス!貴方はスニアにアリエッタの記憶を埋め込んだのでしょう!辛い記憶だけをスニアに…!」

珍しく叫びながらジェイドはスニアの攻撃を避ける。念のためにと手の中から槍を出して。

ア「ち、ちが…っ私はアリエッタもイオンなんて人も知りませんよ…っ」

ジ「アニス、スニアはアリエッタの生まれ変わりではない。守るイオン様もここにはいない。わかっていますね?」

ア「…っ……」

スニアの攻撃を避けながら言うジェイドに、アニスは俯く。するとどこからともなく笑い声が聞こえた。

デ「あーはははっ!アニス、そろそろ覚悟はできましたかぁ?」

その登場に一番嫌な表情をしたのはジェイドである。

ジ「またストーカーしていたんですか?呼んでいませんよ」

デ「違います!一々勘に触る人ですね!アニスに用があるんですよ!スニアにアニスの記憶を移したのは他でもない私ですからね!」

ア「ディスト…もう大丈夫」

デ「お兄ちゃんと呼ぶよう言っているではありませんか。まぁ、いいでしょう。スニア…いえ、アリエッタ来なさい!」

ス「…でも…」

ディストの掛け声に、スニアはピタリと止まる。ジェイドは止まったスニアから逃げず、ディストを見やった。

デ「いいから来るのです。貴方のアリエッタをスニアに戻すのですから」

ス「私はスニア…?違う、アリエッタはアリエッタ…」

デ「これを舐めなさい。アニスもですよ。」

ア「うん」

ス「…?」
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