青の祓魔師

□好きな人
2ページ/5ページ

翌日。昼休みになると、広場へ生徒たちが集まる。

「なんだこれ…。こんなとこですんのか?」

「なんや?自信ないんか?」

「いや、自信とか以前の…」

料理対決。その場所は広場であった。昼休みにはその対決としてのキッチンが2つ用意されていて、瞬く間に生徒たちに囲まれた。

「皆さん今日は集まっていただきありがとうございます!今から始まるのは、ここの学校首席の奥村雪男を巡る料理対決!まずは料理の審査員から説明いたします!審査員は五名!一人10点までの点数を持っています。審査員が料理に点数をつけ、多くの点数がついた方が勝ちとなります。」

「こんな盛り上げる必要あんのか…?」

既に呆れ返る燐を無視して料理対決の司会者は話を進める。

「審査員は志摩くん、三輪くん、勝呂くん、神木さん、奥村くんとなります。そして、闘うチームは奥村雪男の兄、奥村燐と奥村雪男に恋する乙女の三人です!」

「なんでわいが料理の審査員せなあかんのや」

「奥村くん、料理作れるんやろか?でも、女の子の手料理食べれるならどっちでもかまわへんな」

「周り盛り上がっとるし、適当にはやれへんね」

「一体どういう理由で私が審査員しなきゃならないのよ」

「すみません、巻き込んでしまって…。僕に審査員を選ぶように言われたのですが、思い当たる人物があまりいなくて…」

「あー…気にしてもしゃあないですよ。まぁ、ただ飯食べれるんですから文句は言いません。」

「それにしてもモテる男は大変ですね。若先生」

「本当にすみません」

審査員の中で話が進む中、料理対決は既に始まっており、周りの生徒たちはそれを見守る。…というより驚いていた。

「あの首席の兄すげー…」

「なんか料理に慣れてるって感じ」

「人は見た目じゃわからないもんだな」

「頑張って!お兄さん!」

ざわざわとする生徒たち。女子高生三人よりテキパキと料理を進めて作っていく燐に、周りの生徒が圧倒されて応援をし始める。

それを聞く女子高生たちは焦りと悔しさを混ぜながら料理に取り組んだ。一方燐は、料理に集中していて周りの応援が聞こえてない様子だが…。

ピーッ

料理終了の合図のホイッスルが鳴る。どちらのチームも時間内に作り上げた様子だ。

それぞれの料理は審査員に運ばれた。

「ついに料理の審査開始!まずは乙女たちの料理だ!どうやら、ハンバーグを作ったようだ。何とも美味しそうな出来上がり!さて、感想と採点は…?」

「美味しいけど、形が少し崩れてたりするし、8点がちょうどええやろ」

「もちろん10点や。美味しいし、女の子の手料理ってだけで俺は満足やしな」

「9点くらいやろか…。もう少し焼いた方がええ気もするし…。」

「7点ね。美味しすぎるわけでもまずいわけでもないわ…。形も普通だし、工夫が足りないわね」

「今のところそれなりの高得点!さて、一番要の奥村雪男の感想と採点は…!?」

女子高生たちは息を呑む。好きな人の採点と感想なのだ。これが一番緊張するのだろう。

「5点ですね」

「おーっと!微妙な点数!一体何がいけなかったのでしょうか!?」

「味も見た目も普通です。神木さんが言ったように工夫が足りない部分があります。けれど、それ以上に気持ちが入っていない。兄さんに勝とうとするあまりに、食べて美味しいと思えませんでした。」

「これは痛いお言葉!しかし、高得点であることは事実!乙女たちの合計点数は39点!奥村燐はこの点数に勝てるのか!?」

雪男の微妙な点数と、きつい感想に悔しそうにする女子高生。しかし、それは気にされることなく燐の作った料理が審査員に出される。

「からあげと五目ご飯、それと味噌汁に焼きさんまだ!からあげの皿にあるサラダのソースは俺の特性ソースだからじっくり食べてみてくれよな!」

「なーんと!あの短時間でこれだけのものを作るとは、私驚きです!さて、感想と採点を聞いてみましょう!」

「ものごっついムカつくけど、10点や…。見栄えにしても、味にしても悔しいほど美味しいわ…。それにこのサラダのソース…結構好みや」

「9点やな…。男の料理に満足する俺なんかおらへん思うてたけど、おいしゅうございました。後は奥村くんが女じゃないから残念やな。女やったら満点やわ」

「10点ですね。文句なんてつけれませんわ。志摩さんはふざけてるだけで、実際は10点と変わらへん思いますよ」

「…10点…。ソースに工夫が見られるし、美味しかった…。とても温かい味が感じられたわ」

「文句なしのほぼ満点!四人目で既に同点!これは優勝間違いなしか!?では、最後の採点お願いします!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ