青の祓魔師
□合宿での出来事
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そして早くも夜。それぞれ決まった部屋に入り就寝する。
それは燐と雪男も同じで、就寝前の見回りが終わった雪男は疲れた様子で自分のベットへと入った。
「雪男、大変なんだな」
「兄さん、まだ寝てなかったの?子供はもう寝る時間だよ?」
「お前を待ってたんだよ。弟が無理してんのに、寝れるわけないだろ?」
「本当…兄さんにはかなわないな」
「そう思うなら心配させんな!よく寝ろよ?」
「うん…。兄さん、兄さんは僕が守るから…ね」
「頼りにしてる」
子供ながらに大らかな兄に安心して眠りに落ちる雪男。それを見て燐は雪男のベットに近づき、雪男の頭を優しく撫でる。
そしてすぐ離れると、気配を消してその部屋を出るのだった。
周りの者を起こさないようにコソコソと目的地に向かう燐。子供になった燐の片腕には降魔剣があった。もし見かけたものがいれば不思議に思う光景だが、運がいいのか悪いのか、就寝となった夜に廊下をうろつく者は見られなかった。
「いやはや、夜にお呼びして申し訳ない!子供はもう寝る時間だというのに…。奥村先生が気付けば私が怒られてしまいますね」
「……雪男には言うんじゃねぇ」
「わかっていますよ。では、降魔剣を出してください。」
「ああ」
燐が立ち止まった場所。それはメフィストがいる理事長室とも言える場所。旧男子寮からは離れた場所であった。
燐はメフィストに言われるまま、降魔剣を取り出す。するとすぐさま燐が青い炎に包まれる。しかし、その炎はどこか弱々しい。
「やはり、炎の力が弱まってますね。子供になった原因は炎のせいでしょう。炎を強めなければ、奥村くんはさらに子供へと若返ります」
「どうやって強めるんだ?」
「悪魔を倒してしまうのが手っ取り早いですね。悪魔を倒せば降魔剣に力が戻り、炎も元通りでしょうから」
「けど、俺はまだ祓魔師じゃねぇよ?依頼は難しくねーか?」
「それなら心配はいりません!奥村先生に頼めばいいのですから」
「雪男には言うなって…」
「何を言うのです?悪魔なら下級でもかまわないんですよ?なら、合宿訓練を再開すればいいだけの話ではないですか」
「雪男が納得するのか?」
「納得せずとも、これは強制させてしまえばいいのです!奥村くんは単独行動にするよう奥村先生には言っておきます。安心してください。」
「怪しまれたりしねぇか?」
「それは奥村くんの演技次第!バラすのが一番だとは思いますがね」
「力が弱まったなんて恥ずかしくて言えねーよ!」
「そうですか?それよりも、今の時点で気付かれないのはすごいですね。奥村くんの場合すぐバレてしまうと思ったのですが…。」
「案外自然といられるからな。バレずに済んでんだ!最初は焦ったけど…」
「なら、問題はありませんね。では、部屋までお送りいたしますよ。」
「送ってくれんのか?」
「子供を一人にはできません」
「言い返せねぇ…」
にやついた顔で言うメフィストに苛つきながらも、燐は後ろについていき、その日は皆より少し遅く眠りについたのだった。
明日どうなるのか不安を抱きながら……。